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いつもの丘に行くにはいつもより少し遅い時間の出発になったのですが、カップルハンターの二人は後から来ることに。
そしていつもの薬草採取をいつも通りにするわけですが、いつもより遅い時間に村を出たにもかかわらずいつもよりも早く着くのはアウェクルのお陰でもあって。
「本当に早いな?」
褒められていることは分かっているみたいで、アウェクルが嬉しそうに鳴き声をあげてさらにスピードアップしたことが原因かもしれませんが、いつもの丘は何も変わらず。
カップルハンターの二人が言う様な大物がいるような空気は無いのですが、いると言われた時間は夜。今の時間に気配が無くてもおかしくは無いわけで。
「じゃ、いつも通りの採取をしようか」
すりすり
撫子と二人で、いつもの採取を始めるわけですが丘のキャンプは壊れたまま。その為テントを立ててという作業は無いのですが、アウェクルを繋ぐ場所だけ実は直っているらしく、そこにアウェクルを繋いで採取に向かおうとしたのですが、アウェクルが鳴き声でかまって欲しそうにこっちに甘えてきます。
少しだけ、と数分撫でたり、かまってあげたりしていたのですがペチペチと撫子がそろそろいつもの採取に行こうと合図をくれる事に。
そしていつも通りの採取をして、一度途中でキャンプ地に戻り自分達とアウェクルの食事をして、更にもう一度別ルートの探索。
今日もいつも通りの薬草とキノコが取れた訳ですが、それでもいつもの時間よりは早い時間に終わったので、キャンプ地でゆっくり休憩を取る事に。
最近、休憩中にちょっとした遊びをするようになったのですが、それは撫子をするすると全身をぐるぐる回って貰う事。撫子は自分の行きたい場所にすぐに動けるようになり、自分は自分で撫子がするりと動いてくれるとその部分が少しだけヒンヤリしてちょっとしたマッサージみたいな強弱もあるので気持ちのいいモノで。
そんな遊びをしていると、それが面白そうに見えたみたいでアウェクルが一鳴き。
初めは鳴いた意味が分からなかったのですが、どうやら同じことをやってみたかったみたいで、撫子にやってみることは出来る?と確認すると、肯定のすりすり返事が帰ってきます。
「じゃ、どうぞ?」
右手を前に出してアウェクルの背中辺りに撫子が行けるようになったので、撫子がアウェクルの背中に乗って、そこから前へ後ろへクルクルとしゅるしゅるとアウェクルの全身を結構なスピードで撫子が動くと、何とも気持ちよさそうな目尻が下がったような状態のアウェクルが出来上がります。
「気持ちよさそうだね」
と、アウェクルも自分も結構気持ちがよかった撫子のマッサージですが、マッサージをしている撫子は疲れるんじゃ?と思っていたのですが、このぐらいの運動はむしろちょうどいいみたいで。
それが分かるのは、ある程度して疲れるぐらいになるとピタッと撫子の動きが止まって、何も言わなくてもアウェクルの背中のスタート位置に戻り、自分の場合はいつものように頭の上に戻るのです。
「お疲れ様。アウェクルも気持ちよかったみたいだよ。ね?」
鳴き声の返事を聞いて撫子も満足なのか、少しだけいつもよりは気分が良さそうな感じに見受けられます。
そんな感じに時間をつぶしていると、前の方から二人がアウェクルに乗ってやってきます。
「その様子だと、もう採取は終わったのかな?」
「ええ。この通り」
「あら、早いわね」
二人もアウェクルに乗って颯爽と来るわけですが、その装備が今までとは全然違い少しだけ自分も緊張感を持つことになります。
「その装備、本気って感じですね?」
「まあ、討伐するモンスターが今迄みたいな簡単な奴じゃないからね」
「そうなよね。前みたいにちょっと囮になってくれると助かる……なんて言える状況じゃないのよね」
今までとは格が違うというか二人からの緊張感も全然違って。
「でも、あまり長く緊張していても意味はないから、とりあえず日が落ちるまではこのまま……って、そういえばここはキャンプが壊れたままだったわね」
「因みにこういう場合はどうするとか、あるんですか?」
「別にないわね。まあ少し離れた位置で火でも起こしてゆっくりお茶でもたのしみながら待つのがいいんじゃないかしら?」
二人共慣れているのか、気負った様子は殆どなく持ってきている荷物の内のある程度をキャンプ地に置いて、いつもとは違う小型のバックを確認しています。
「そのバックは?」
「前の狩りの時は使わなかったけど、戦っている時にそんな大きなリュックは使えないだろう?だから、すぐ使えるモノだけをこうやって用意しておくんだよ」
「私は回復とか後は罠とかそういうものね」
「俺も回復とあとはサポート用のアイテムだな」
そんな小型のバックがあったのか。と、思う所ではあったのですが言われてみると戦っている最中にリュックから何か物を出すのはかなり危険なわけで。
「見学の時は、このリュック無い方がいいですかね?」
「逃げ切れるならあってもいいが、匂いやモノによってはソレに寄ってくる可能性があるから、出来ればここに置いていくのがベストだな」
「ですよね。おいておきます」
「そうなると思ったから、コレな?」
そう言ってカップルハンターの男性が渡してくれたのは小型のバック。
「コレが回復薬で、ここに雑でもなんでもいいから薬草とかきのことか入れる事も一応出来るから、この後の夜の採取はそれで頼むな?」
「はい」
こんな感じに準備が整って、夜の狩りが始まります。




