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音を立ててしまって、アウェクル亜種がこっちに向かって走って来るのですが大きいと言ってもアウェクル基準で自分の知っているアウェクルより大きいだけで、初めて見た大型やさらにそれよりも大きかったモンスターに比べるとそこまででもないわけで。
さらに言うと、走ってくるスピードはそれなりですが大猪の時のような横に広いモンスターという訳でもないのでただ馬がこっちに向かってくるような感じだと全く怖くないと言うと嘘になりそうですが、大猪の時の様な恐怖心を凄く感じるようなそれとは違うわけで。
「……意外と怖くない?」
ペチペチ
そんな感じもあって、こんな感想が口から出たのですがいいから動けと言わんばかりの撫子からのペチペチでハッとしたので、そのまま横に動くのですが、猪と違う部分があったみたいで、思いっきりこっちを追尾してきている状態なので避けたはずなのに目の前から向かってくる形のまま。
「あ、コレはマズイ?」
ペチペチ
理解したときには遅かった訳ですが、否定をするのは撫子でいきなり頭の上をガシッと掴むような強い力を上から感じると同時に、ちょっと自分より前に撫子が出ます。
そして、何をしているのか分からないのですが自分より前に撫子が出たとほとんど同じタイミングでアウェクル亜種の動きが鈍くなって、突っ込んでくるスピードはのろのろに。
「助けてくれた?」
すりすり
質問を投げると、頭をギュッと締め付けるような撫子の強さが減って、少しだけ間が開いてからいつものすりすりで返事をしてくれます。
そして、自分の目の前にアウェクル亜種が到着しそうになった時には、後ろの二人が凄い状態で攻めてきます。
一応目の前にアウェクル亜種が居る状態なのでそれの後ろでカップルハンターの二人が動いているのが見えるのですが、その動きは素早くそして少しだけ不思議なもので、いまいち意味が分からない状態だったのですが、後になってみれば分かりやすい事をしていたみたいで、カップルハンターの女性が大剣の刃の部分を斜めにするとさっきも近い形で動いているのを見たような何かを叩くような感じで面を使った大振りをするのですが、そこにタイミングを合わせて槍と盾をもった男性が大剣に乗って、凄い勢いで射出されるようにこっちに向かって一気に飛んできます。
一応自分や撫子もいるので真っすぐはマズイと思っていたみたいで、斜め上の方向へむかって女性の方が男性を弾く形で打ち上げると、勢いそのままに右手で持った槍を地面に向かって思いっきり突き刺します。
突き刺さると同時に何かしらのギミックが発動したのか、今まではのろのろと動いていたアウェクル亜種がピタッと動きを止めます。
そして槍を手放した男性が今度は盾に体を潜り込ませるようにしてそのままの勢いでアウェクルに体当たりを決めます。
当たった位置は脇腹の辺りですが、それでもピタッとアウェクルに動きは無く槍の先が地面に刺さったままなので何かしらの事をしていたことは分かるのですが、何をしているのか分かっていない状態。
そして、男性がニヤッと笑うと大きな声で「下がれっ」と言われます。
飛び出していた自分としてはいきなりの言葉で少しびっくりするのですが、見学をしている自分が下がらないのはおかしい事も分かっているので、いわれるままに頷いて茂みに隠れるように下がるのですが、それを確認したのか男性はすぐに盾を構えて今度は後に走ります。
正直言うとなぜ後ろの走る?という感じに一瞬思ったのですが、ペチペチと撫子が反応を見せたので、今の動きで正しいのだろうという事は分かったのですが、イマイチ行動の意味が分からないままでいると、すぐにその行動の意味が分かる事を二人がしてくれます。
盾を持って後ろに走った男性はアイコンタクトを女性と済ませ、途中でズサァァァと土煙をあげるようなブレーキをかけるのですが、そこに向かって今度は女性が走り込みます。
今までの様な上段の構えではなく、肩から後ろに大剣を構えるように大きく振りかぶる前のような状態であまりバランスは良さそうではないのですが、かなりキツそうな状態で走り込むと、そこにいるのは盾を持った男性。
「いくよっ!」
「任せろっ!!!」
二人でタイミングを合わせ、声を合わせ、男性が一気にしゃがむ様に動き、盾を上の構えると、走る勢いをそのままに盾の上に女性が乗ります。
そこからは奇麗な連携技。
男性が立ち上がるように上に腰をあげ、その勢いをバネに女性はさらに高く飛ぶと肩の上に乗せていた大剣を思いっきり溜め、タイミングよく大きく振りかぶり、そのまま首と胴体の辺りを狙って大剣を振り下ろします。
その一撃はしっかりとアウェクル亜種に届き、そして一撃ですがしっかりと絶命させるに至る、会心の一撃。
色々とビックリすることはあったのですが、こんな感じに中型のモンスター討伐を見せて貰ったのですが、剣や盾をそんな雑に扱っていいの?と思ったりもして。
ただ、剣の腹で叩いたり、盾でも体当たりをしたり、武器の使い方は一つではないと教わるような動きをしていたのもあって、雑ではあるモノのこういう使い方は想定しているものなのだろうと思えたので、この辺りは後で教えて貰うのがいい気がしました。




