31
今日もたっぷりとウチのヘビがキノコを食べて、リュックの中にあったはずのものも結局食べられてしまったので、がっくりと肩を落とす事になるわけですが、一応手に持っているキノコは流石に食べられていないわけで。
たった三個の確保ですが、一応これは今日このまま手にもっていれば持って帰る事が出来そうなわけですが、ヘビの視線は手に持っているキノコに向いているのが分かるわけで。
「コレは、食べ物じゃなくて納品する奴だから。駄目だからね」
一応言ってみますが、ぷいっとするので言葉を理解した上で無視をしていることは分かるのですが、いつもの二周目も終わったのでこのままとりあえずキャンプの場所へ行って最後の休憩をとってから村に帰るわけで。
キャンプ地は何もなくても一応安全みたいで、それは凄くありがたいのですがこのヘビはこのキャンプ地に毎日一緒に来ているのですが何も嫌がる素振りも無いわけで。
「もしかして、モンスター避けとかの効果は無くなっている?」
そうだとしても、違っていたとしてもそれはモンスターにしかわからないので今ここで何かがすぐに分かるという事は無いのですが、休憩をしている最中もヘビは手に持っていたキノコを狙っている状態で。
「駄目だって」
言うのですが、視線はずっとキノコのままで隙を見せたら食べるつもりなのは明白。
何となく帰り道の最中に食べられてしまう様な予感もあるのでかなり諦めている状態ですが、何度か狙われているのを避けていると、流石に諦めたのか動きが緩くなります。
「諦めてくれたかな?」
と、思ったその瞬間いきなりの素早さで右手を持ち上げる動作が遅くなったのですが、その隙を逃さずにパクリとキノコを食べるヘビ。
「キノコは絶対に食べるのかな……」
結局手元にあったキノコは食べられてしまったのですが、今のやり取りでキャンプ地に置いてあった残骸が結構移動してしまったことに気がつきます。
「あー、一応端に寄せておいたのに?」
たった数十日前に自分が片付けたものなので位置がずれたという事がない事は分かっているのですが、そこに合ったものがあっちにあって。
でも自分で動かした記憶はもちろんなく。
ただ、すっごく重たかった記憶はあるので、今自分が動かして元の位置に戻せと言われたらかなりきつい事は否定できないのですが、それにしてもこんなに動いた?と、不思議に思っていると、こちらの隙と見たのか残り一個のキノコを食べようとヘビがヒュンと飛ぶ動き。諦めもあったのでそのままにしていたのですが、右手のキノコを口に含むとそのままの勢いでキャンプ地の荷物にドーンと突っ込むと、荷物は簡単に奥へと動きます。
「おおぅ?」
その荷物は自分がかなり大変な思いをしながら全身の力を使ってやっとこの位置まで動かしたものだったのですが、それが簡単にヘビの体当たり一つで動きました。
そもそもそんな簡単に動くはずのモノじゃないとは思ったのですが、都合よくもしかして自分も力がついた?と、いうありえない希望を抱きながら、両手をついてフンッと力を入れて押してみますが、ほんの少しだけ動いたような、動いていないような。
どうやら自分自身は強くなった感じは無いみたいですが、その動きを見てヘビがかまくびをもたげるような感じになるのですが、どうやら怒っているというよりはこちらを見下す為に首を揚げた模様で、ふふんと笑ってみている感じ。
「力、強いのか?」
言葉は理解している感じがあるので、確認をするように聞いてみると、縦に首を振ったような感じに動き、両手をついていた荷物に向けて体当たりをヘビがすると、荷物はズズズと音を上げながら、横に動きます。
「マジか」
自分の数十分の一の大きさで、重さだって大したことないのに、このヘビ自分よりもしっかり力があるみたいで。
溜息を吐いたような動きをした後、ここ数日で慣れた感じもあって右足を螺旋状に上って、最終的に自分の右肩の上に来ると、首を頭の上にペタンと乗せて、すりすりとお腹に最初のころにしていたような動きをします。
「その行動の意味も分からないんだが、しっかりと力を貸してくれる事が証明出来たら、個人依頼が出来るかもしれないんだが、今後も良ければ手伝ってくれるか?」
確認をするように聞いてみると、返事をするように頭をもう一度すりすりとしてきます。
その動きで何となく「しょうがないなぁ」という空気を含んでいる気がして、今日もキノコの納品は出来ないのですが、数日後の個人依頼に少しだけ光が。
「もう少し意思疎通がしっかりと出来るようになるためには……名前でも付けるのがいいのか?」
独り言にしかならないのですが、そんな事を言うと今度は頭を叩くような動きになって、ぺチンぺチンと頭に音が。
「名前はまだ早い?」
すりすりという動きになるのですが、どっちがイエスでどっちがノーなのかやっているうちにわからなくなってしまって。
「とりあえず今日も薬草だけだけど、納品しに帰ろうか」
そう言うと、すりすりとしてきたので、多分すりすりはイエスのような気がするのですが、そうなって来ると、いつものお腹にすりすりする行動がイエスになるわけで。
訳が分からなくなりそうなので、とりあえず帰ってから考えましょうか。




