表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/162

103


 かなり座り心地のいい椅子なのですが、自分の気持ちがどんどん落ち着いているのが分かり、少しだけ呆けるような状態になってしまっていたのですが、肩の上の撫子がペロッと頬を舐めるのでハッとします。


「なんか、ぼーっとしちゃって」


 椅子に座って、後はこのロボットが動くように多分何処かにあるはずの電源を探したいわけですが、薄く色づいているだけのココだと正直色々としっかりとは見えない状態。


「撫子、分かる?」


 かなりここまで先導してくれていたので、聞いてしまった方が早いと撫子に聞くと、肩の上から溜息をつくのですが、その目は優しくて「私が居ないとダメですねぇ?」というような視線を感じるのですが、多少の色があっても見えづらいモノは見えづらいのでそのままお願いをして待っていると、肩の上から今回はお腹の上に。

 そしてお腹の上にいるのですが、一度こちらを見上げるようにして見た後ニヤリと目が合った気がすると同時に、ぐいぐいとお腹を椅子に向かって押し付けてきます。

 いきなりの事だったの……ではなく、単純に腹筋もないので押されるままに腰が椅子に押し付けられると、今度はその椅子が少し下がる感じに。


「おお?」


 あまり座ったことが無いので正しいのかはわかりませんが、はじめて座ったマッサージチェアのスタートボタンを押した瞬間、いきなり足が上に上がり腰が深く下ろされ、頭も下げられて横になるのと起き上がりのちょうど中間のようなリクライニングチェアに体を完全に預けたような状態に。


 そしてかなり寝ている状態に近い感じになるのですが、それと同時に上から何かが下がって来て顔を覆うのですが、バイクのフルフェイスヘルメットの口の部分がない様なものが上から降りてくる感じで自分の頭を守ろうとしてくれているのは分かり、更に口元が無いのでそこまで怖いとか苦しいとかそういうのは無い感じ。


 自分としては椅子に深く座らされただけなのですが、かなり色々と動き始めているのが分かります。

 そしてお腹の上に居る撫子も喜んでいるのか、すりすりとお腹の上をぐるぐるととぐろを巻くのとは違った今までにはない動きをしている状態。

 何となくお腹の上が気になるのですが、チカチカと上の方がしている事に気がついて下を向いていた視線を少し上げると顔を覆ったヘルメットのようなものの中に文字があるのですが、読めません。

 そして読めないままですが、文字がチカチカしているので気にしていると文字列が別の言語であろうナニカに変わりますが、それも勿論読めないモノでぼーっとその文字列を見ていると一瞬だけ英語のような文字になり、目が多分反応したのでしょう。

 文字列は変化を続けているのですが、なんとなく知っている文字に近い様なものを出し続けるのですが、知っている文字になる事は無く少し時間が経つことに。


「結局このチカチカは何?」


 すりすりぺちぺち


 器用に自分の独り言に撫子が返事をしてくれるのですが、たった一分程度の事なのにかなり長い時間よく分からないものを見させられていた感じがあって、少し気分が悪くなります。

 流石に吐き気がという程の事にはならなかったのですが、目を開けているのがちょっと辛くなって、そのまま目を閉じると少しだけ楽なのですが目を閉じていても何かが続いているのは瞼の上からの光で分かります。


 このまま目を開けなければ楽かもしれないと思ったのですが、撫子がぺちぺちと来ように叩いてきたので目を開けると、そこには自分のよく知っている「日本語」が。


「お?」


 そして正面に書いてある文字はとても分かりやすい一文。




『起動しますか?』




 ここでノーを押す人なんているんでしょうか?


 答えは勿論「はい」一択。




 と、思うわけですが画面上にカーソルなどは無くそこに文字が出ているのに何もできない状態。


「はい!」「Yes!」


 それだったらと声を上げてみるのですがこれもダメだったので、ひじ掛けに置いている手を持ち上げようとしてみるのですが、右手も左手も動きません。


「え?あれ?両手……だけじゃない、両足も…………動かない?」


 ひじ掛けの上に置いているような感覚が両腕にはあって、かなり優しく包まれていることは分かるのですが、上に手を持ち上げる事も出来なければ左右に動かす事も出来ず、更にそのおかしさに気がついて両足をバタバタと動かそうとしてみたのですが、リクライニングチェアに包まれている感覚だけがあって、足もしっかりと固定されている状態。


「動けない?え?え?どういう事?」


 その間にも『起動しますか?』という文字に変化はなく、ただ一つの選択肢を選びたいだけなのにその少しが何もできない状態。


「撫子、動けないんだけど」


 弱音を吐くように撫子なら何か知っている可能性も高いと思って声をかけてみるのですが、ぺちぺちという自分が欲しかったすりすりという返事とは違う返事が返ってきます。


「このままで居ろって事?」


 そんな事言うわけが無いと思いながらも、一応口に出してみるとなぜかすりすりという答えが。


「すぐそこにあるのに……」


 まさかのなにも出来ない状況に陥ります。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ