デ・レ・メタリカ
「お金を落としたリ、最近なんかついてなくってサ~」
エリがため息をつく。
「お姉さま、少し気分が優れないようですね」
レマが心配する。
「うン。思い当たることが無いんだけド~」
元気印のエリが気落ちしている。
「あら? お姉さま、その可愛いコサージュはどうされたのですか?」
初めて見るエリのアクセサリーに、レマが目を留めた。
「あア、こレ? 落ちていたのを見つけたんだけド、捨てるのももったいないシ、ワタシがもらっちゃっタ」
「お姉さま、それですわ! 早くそれを持ち主に返さないと!」
「えエ? でも見つかるかなア?」
レマは正義感からではなく、姉を気遣ってのことだった。エリもレマの意図を汲んだようだ。
「わたくしが匿名でしているSNSで聞いてみますわ。返答があったら場所を指定して取りに来てもらえば、顔を合わせずに済みます」
「妹ヨ!」
しっかりしたレマにエリは自分のいたらなさを覚えた。
エリはコサージュを拾ってからというもの、高いところから降りてくるサインのようなものを感じていた。レジの会計が4989円になったり、早朝目が覚めると、4時44分だったりということが続いた。車にぶつかりそうになったこともあるが、そのナンバーは4219であった。
「お姉さま、無事落とし主が見つかりました」
レマが報告する。
「ありがとウ! レマがSNSで聞いてくれたあたりかラ、ツキも戻ってきたみたいだヨ!」
裁紅谷姉妹はコンビニエンスストアに立ち寄り、飲み物とお菓子を購入した。
「ありがとうございます。777円になります」
店員はニッコリ微笑んだ。