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クオ・ヴァディス

 その昔、アシュアリーという学者がいた。

我々は時間的連続性の中に生きていると、当たり前のように考えている。生まれてきてからこの方、自分のやって来たことの積み重ねによって今がある、とこう思っている。


 ところが、アシュアリーは違った。この瞬間における原子の構成は、その次の瞬間におけるそれとなんの関係も無く、物体のまとまりと持続は、瞬間ごとの神の意志によって決められる、とこう考えたのである。


 これは悲観的に捉えられるべきものではなく、好意的に受け止められるのではないだろうか。


 世界が不幸の闇に包まれたとしても、神の意志によって、その状況を一変させることが容易に起こりうると考えられるからである。


 その神の気まぐれとも言える御意志に叶うような生き方、それは決して難しくないはずである。




「メシヤ~」

 寝台ベッドで休んでいたメシヤを起こすマリア。


「ふぁ~。ああ、おはようマリア」

「うん、おはよう・・・って、どうやったら、そんな寝癖になるのよ!」

 メシヤの頭は爆発状態だった。


「ごめん、顔洗ってくるよ」


 洗面所に行くと、先客がいた。イエスである。


「おう、メシヤ。おはようさん」

「おはよう、イエス」


「眠れてるか?」

「まあね」


 イエスがこのように聞くのは、理由がある。

メシヤは脳が過活動ぎみで、不眠の傾向がある。それで医者に薬を処方されているのだが、こんどは日中も眠気が取れないという、悪循環になってしまっている。


 メシヤたちが歯を磨いてから食堂に向かうと、マリアたちが待ち構えていた。今日の食事当番はメシヤだったのである。


「ダマスカスの市場で仕入れた、中東料理をふるまうよ!」





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