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ハラッパーの真ん中で  作者: 三重野 創


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血は争えない

「メシヤさまはO型ですか?」

 血液型占いの本を持ったレマが尋ねる。

「うん、そうだよ」


「メシヤは能天気だからねー」

 マリアが軽くメシヤをディスる。


「マリアはきっとB型だネ!」

 エリが自信を持って言い放った。


「当たってるけど、あたしってそんなB型に見えるかしら?」

「マリアはわがままだからねー」

 やり返すメシヤと睨み返すマリア。


「お二人とも、O型男子とB型女子は相性ぴったりだそうですよ」

 片目をつぶってとりもつレマ。


「エリとレマはAB型かな?」

 気を取り直してメシヤが聞く。


「すごいネ、メシヤ! 二人同時に当てるなんテ!」

 エリが目を丸くする。

「ふたりとも変わってるし一卵性の双子だから、同じ血液型のハズじゃん!」

 エリはメシヤ以上に天然だ。


「ええと、イエスさまは・・・A型でしょうか?」

「ああ、その通りだ」

 レマの問いに、イエスがゆったりと応える。



「イエスくんは超がつくほどの几帳面だからね。あんたとは違うのよメシヤ」

 マリアがまたメシヤにけしかける。


「あ~ッ、それ分かるゥ! イエスは超こまかィ!」

 エリは思うところがあったのか、高らかな声を上げた。


「僕もモノの置き方とかはこだわるほうだけど、イエスには負ける」

「そうか?」


「あげたらキリが無いけど、まずイエスは持ち物の色にちゃんと統一感を出すよね」

「あんたみたいにゴチャゴチャ色を何色も使わないからね、イエスくんは」

 マリアは攻撃の手を止めない。よっぽどわがままと言われたことが気に障ったのだろう。


「まあ、そのほうが落ち着くんだよな」

 照れているのかイエスは控えめだ。


「授業中もサ、筆箱・ノート・教科書・鉛筆・消しゴムをピタッと並べてるヨ、イエスは!」

「そうそう。ロッカーの中も、お店の商品棚みたいなんだよ」

「それはあれだな、家業が関係してると思う。建設業は整理整頓が命みたいなところがあるからな」

 イエスは褒められても決して調子に乗ることはない。


「イエスと約束するとビックリするよ。なんとなく『こういうところ行きたいよね~』って言うと、すぐ目的スポットを調べてはっきりさせて、『何月何日なら空いてる。午前9時に集合でどうだ?』って、一気に話が進むんだよ。なんだかさ、すごく頼もしいよ」


「かと言ってせっかちでもないのよね、イエスくんは。パーフェクトだわ」

 マリアが絶賛のコメントを贈った。


「はい。キチッとしている方は相手にもそれを要求するキライがありますが、

 イエスさまはそんな押し付けもなく、大人びた余裕を感じます」


「だってさ、イエス! 二人でどこか行ってみたら?」

 メシヤのチャチャを聞いたレマは、一瞬さびしそうな表情を浮かべた。


「あー、ずるイ! ワタシたちも行クー!」

 エリが微妙な空気を察知したのかは不明だが、場の雰囲気を変える天性のAB型であった。






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