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ペタフティクワ(希望のドア)

「マリアちゃん、いつもありがとう! おまけにこれもつけとくよ!」

 マリアは青果店で買い物をしている。店主は機嫌良さそうに、人参とじゃがいもを手渡してくれた。


「マサルさんこそ、いつもありがとうございます! スーパーよりも八百勝さんのお野菜のほうが、断然美味しいですから!」

 マリアは如才なく応える。


「嬉しいこと言ってくれるねぇ! 端数はいらないよ、また来てくれよな!」


「はい! 明日も来ます!」

 マリアは学校で見せないような笑顔を振りまき、店を離れた。



 それを遠目に見ていた別の客が、マサルに話しかけた。

「ちょっと、あなた! あの子ばっかりずるいじゃないの! 依怙贔屓だわ!」


「奥さん、それは違います」


「なにが違うのよ! あの子が若くて可愛いからあんたも鼻の下伸ばしてるんでしょ? あんな不良みたいな子に」


「マリアちゃんはそんな子じゃありません。先日の町の奉仕作業で、うちの前の道路を綺麗にしてくれました。排水溝のドロも彼女がショベルでさらえてたんですよ?」


「あ、あたくしだって家の庭掃除くらいしますわ!」


「それだけじゃないです。このまえ俺がヘマしてワゴンの野菜をぶっちゃけた時、マリアちゃんはすぐ駆け寄って一緒に拾ってくれました。奥さんも偶然あの時いましたが、気にもとめてませんでしたよね」


「そんなのあたくしに関係ないことじゃない!」


「はい、そうですね。だけど、俺がどちらにおまけしたくなるかは分かってもらえたと思います。それに、マリアちゃんは俺のことを名前で呼んでくれますが、奥さんにはあなたとかあんたとしか言われたことがないです」


 客は口をつぐんだ。





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