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ギブソンタックの女

「アーロンさま。デスヘヴンへの遠征のあいだ、ご心配をお掛けしました」

 裁紅谷レマは、リモートでアーロン・グッドシュミット以色列イスラエル首相と話している。


「よいよい。それよりもグランモルナク殿の様子はどうだ?」

「はい。いまは落ち着きを取り戻し、精力的に活動されています」

 レマはにこやかに返答する。


「ところでアーロンさま。奈保という男についてなのですが・・・」

「ふむ、Mr.ナボか」

 アーロンは奥歯に物が挟まっているかのようだ。


「あの男に関するデータ、なにひとつ信用に足るものがありません。普通すぎて、ということですが」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 きょうは北伊勢高校一年生による、街の奉仕活動が行われていた。一年G組の生徒たちも駆り出されている。


 裁紅谷レマは草抜きの邪魔にならないように、長い髪をギブソンタックにまとめている。姉のエリはいつものピッグテールだ。


「メシヤ~、なんでワタシたちがこんなことしなきゃいけないノ~?」

 エリは不満たらたらだ。


「まあまあ。これもコツがあってさ。草刈り機なんて慣れてくるとゲーム感覚だよ、エリ」

 メシヤはいつになくさわやかだ。

「そうですわ、お姉さま。これも誰かがやらないといけないわけですから」

 レマも本心では気が進まないのだが、他ならぬメシヤのこと、調子を合わせる。


「精が出ますね、メシヤくん」

 ゴミ拾いトングで缶をつまみながら、レオンが話しかける。


 レマはやや警戒した目線をレオンにむけるが、彼は目を合わそうとしない。


「超古代はごみ問題をどうしていたんだろうね、レオンくん」

「アトランティス時代においては、プラスチックなど存在しなかったので、いまのように処理に困るということはありませんでした。日用雑貨では麻製品を使っていましたからね」


「それはいいね! リユースしやすいしさ! 片付けや掃除を怠ると病気にも繋がりかねないし」


「メシヤ~、ドブさらいもするのよ!」

 遠くでマリアが泥だらけになって叫んでいる。


「分かってるよ、いまやる」

 メシヤはショベルを持って汚泥をすくい取る。


「これじゃ水が溢れるわけだネ!」

 エリもレマも改心して、汗だくになって働いた。




 放課後、めし屋フジワラの菜園にて。

 以前メシヤからもらったかぼちゃの種を裁紅谷姉妹は植えておいたのだが、なかなか花が咲かなかった。きょう畑を覗くと、労苦をねぎらうように、雌花の実がぷっくりと膨れあがっていた。











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