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屋根裏の宇宙少年

 北伊勢高校には小規模のプラネタリウムがある。だが、天体観測などいまは流行らないのか、いつもガラガラだ。メシヤは屋根裏の宇宙少年なので、もちろん宇宙に夢中だ。メシヤに言わせると、宇宙が夢中とのことなのだが。

 夏休みにマリアを誘ってプラネタリウムを眺めている。


「あれがヒミコだよ」

「へえ、どこにあるの?」

「宇宙の最果て。地球から129億光年離れてるよ。約1225がいkmだね」

がい?」

「数字の単位だよ。ちょうの次がけいでしょ? さらにその次の単位ががいなんだよ」

「え~と・・・」

「1225のうしろに0が20個ついたkm数だね」

「気が遠くなる、というか、気が狂いそうな距離ね」


 あのマリアですらも、宇宙の広さにはバンザイだ。

「マリア」

「うん?」


「僕と一緒に、宇宙の果てまで付いてきてくれる?」

「!!」

(なによ、これって・・・プロポーズ!?)


「メシヤくん・・・? あたし、まだ心の準備が・・・」

 初めてくん呼びをしてしまうほど、あわてふためくマリア。


「アーッ! ここにいたーッ!」

 プラネタリウム内に侵入してくるエリとレマ。


「あらあら、お邪魔でしたかしら? マリアさま」

 顔は笑っているが、いつになくねっとりとした声を出すレマ。


「やあ、エリにレマ。ちょうどよかった」

「なんの相談してたノ?」

「うん、話すと長くなるんだけど―――」

 メシヤはマリアたちに地球の命運、そして、デスヘヴンのことを伝えた。



「そう。そういうことね」

 勘違いをしていたことを恥じるマリア。


「だけど、本当に正真正銘のアホね、あんたは。アホの斜め上を行ってるわ」

「君が笑ってくれるなら、僕はアホにでもなる」

 意に介さずニッコリしている、宇宙少年。


「さっきの返事、聞かせてくれる?」

 メシヤの飛び切りの笑顔には、力強い優しさがあった。

「いいわ。あたしもついてく」

 少しためらったあと、口を開くマリア。


「ワタシもワタシモー!」

「どこまでもおともしますわ、メシヤさま」

 エリとレマもメシヤの傍を離れるという選択肢は無いようである。


「あたしからも聞かせてくれる?」

 プラネタリウムは北斗七星のひとつ、破軍はぐんせいを投影していた。




「あんたの行く先に、果てなんてあるの?」








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