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ベットノワール(黒き獣)

 メシヤが目を覚ますと、体を動かせないことに気づいた。薬の効き目のせいではない。体が5点拘束でベッドに固定されているのだ。顔は動かせる。ふと右の方に目をやると、金色の髪をした小さな女の子が、隣のベッドで眠っていた。体のいたるところが傷だらけで、メシヤは自分の置かれた状況も顧みず、その女の子を哀れんだ。女の子は、拘束具をつけてはいなかった。自分とは別の事情でこちらに運ばれてきたのだろうとおもんぱかった。


 メシヤが体をもがいて拘束具を解くような動作をすると、監視カメラを覗いていた看護師たちがかけつけてなだめた。

「こんな非道いことをして、許されると思ってるの!?」

「メシヤくん、君はいま大変な興奮状態にある。他人だけでなく自分も傷つけてしまう恐れがある。やむを得ない処置だったことを理解して欲しい」

「くそっ、ほどけ! お前たち、ただじゃおかないぞ!」


 看護師がメシヤに背中を向けると、内線で誰かと連絡を取り始めた。すると、すでに待ち構えていたのか、別の看護師が注射器を持って入ってきた。

「お願いします」

「やめろ! 殺してやる!」

 メシヤは必死で抵抗したが、頑丈に固定された拘束具のため、6歳児の力では脱出することは叶わなかった。

 メシヤの右腕に注射器が刺さると、あれだけ激しい抵抗をしていたのにもかかわらず、数秒で意識が途絶えた。


 金色の髪をした女の子が、その騒動で目が覚めた。薄く開けたまなこだったが、年端もいかない子供に大人たちがよってたかって襲いかかる様は、異常な光景に映った。


「もう、死にたい」

 メシヤと同じくらいの年に見える女の子は、その愛くるしい背格好からは、とても似つかわしくない台詞を吐いた。








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