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北伊勢に期待せよ

「ウチの近所にまたケーキ屋さんが出来るらしいわ」

「ワタシのアパートの付近は古い家が多かったんだけド、解体して新築する家が増えてきてるネ」

「高速道路の工事も以前はゆっくりでしたが、急にピッチが速くなりましたわ」

 マリア・エリ・レマの女衆が北伊勢市の変化について語っている。


「大忙しだね、十九川工務店は」

 メシヤがわざとらしく言う。

「嬉しい悲鳴だよ。全国から職方が集まってきている」

 メシヤにフンと鼻を鳴らしたあと、静かな喜びを漏らすイエス。


「伊勢湾大橋なんてロマンがあるわ。鷹山さんのお陰ね」

 伊勢湾大橋プロジェクトとは、三重県の志摩半島と愛知県の渥美半島を結ぶ巨大な架橋計画である。1980年代より鷹山の悲願として掲げていた構想だが、バブル崩壊のあおりを受け、うやむやなままに消え去ってしまっていた。


「これで関東からのお伊勢参りも格段にしやすくなるわね」 

神を敬う信仰心は、神道もキリスト教も同じだという考えのマリア。

「うん、ダンチだね」

メシヤも嬉しそうだ。

「団地も作るノ?」

エリが本気で間違う。


「あながち間違ってないけど、いまのはジュドーだよ、エリ」

メシヤはボケも丁寧に拾う。

「はいはい、マニアックなネタはそこまで」

マリアが止めに入る。


「わたくしも鷹山さまの『世界改造計画』を拝読しましたが、情熱がすごいですね」

レマが話を途切れさせずに、パスを出す。

「勉強家だね、レマ」

メシヤがそう言うと、少しむくれた表情をするエリ。エリは活字を読むのが苦手だ。


「あの本の肝はさ、なんと言っても三重県に首都を移転するってところだよ。それも北伊

勢市が中心エリアになるんだ」

メシヤが熱く語り出すのを見て、眉と口元がぴくぴくするマリア。


「イエスくん。メシヤの症状、ひどくなってない?」

「マリア、メシヤにとってはあれが正常なんだよ。だから誰かが手綱を握っておかないとな」

「まさに、暴れ馬ね」


「手綱を握るのは、お前が適任だと思うがな」

その台詞を聞いて赤くなるマリア。

「ちょっと、イエスくん! なにか勘違いしてない!?」








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