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海を渡った御先祖様

「メシヤさま、もうお身体の具合はよろしいのですか?」

 五大所山での決戦を終えたメシヤ。


「うん。あの時はクタクタだったけど、帰ってからマナのあったかいクラムチャウダーを  

食べたら元気を取り戻したよ」

「まあ、それは良かったですね」

「次に店に来た時は、エリとレマにもハマグリの特製クラムチャウダーをご馳走するよ」


「その手は桑名の焼きはまぐりだヨ!」

 エリが拒絶する。裁紅谷姉妹は、貝類が食べられない。


「いや、焼きはまぐりじゃないよ。てか、エリ。その文句を言いたいだけなんじゃないの?」

 気まずそうにするエリ。


「ところでさ。エリとレマの裁紅谷さばくたにって名字だけど、お父さんが日本人なんだよね?」

 話題を変えるメシヤ。

「うン、そうだヨ。ユダヤ人は母親がユダヤ人ならその子もユダヤ人になるんだヨ」

「それと、ユダヤ教を信仰している者は誰でもユダヤ人になれます」

 エリとレマが解説する。

「へえ」

 なんとなく読みかじった知識では知っていたが、目の前の本物のユダヤ人が言うと感慨深いものがある。


「私達はネ、ベニヤミン族なんダ」

「ベニヤミン族?」

 メシヤがエリに聞き返す。


「うン。ユダヤ人は全部で12支族いるんだけド、私達はその中のベニヤミン族なんだヨ。イスラエルはその昔、北のイスラエル王国と南のユダ王国とがあったノ。ベニヤミン族はユダ王国ネ。ワタシ達の御先祖様ハ、バビロン捕囚で散々な目に遭ったんだヨ」


「世界史で習ったなあ。ユダヤ人は迫害の歴史だもんね」

 メシヤがやや表情をこわばらせて言った。


「あのさ。いまふと思ったんだけど、裁紅谷って名字はベニヤミンのベニヤから来てるん 

じゃない?」

 頭で漢字を思い浮かべて考えるエリとレマ。


「きっとそうだーッ!」

「わたくし達の父は出生こそ日本なのですが、先祖はどこか遠い国から移住してきたと聞いています」

 レマが幼少の頃の、若き日の父を思い浮かべる。


「それじゃあエリとレマのお父さんお母さんは、御先祖様がバビロン捕囚から2600年も 

のあいだバラバラになってたベニヤミン族同士の親戚だったのかもね」

「アブ(父)とエム(母)はとても仲良しなんダ! 今度そのこと教えてみル!」





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