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WGIP

「メシヤくん、聖杯を手に入れたようですね」

 教室で奈保が語りかける。

「うん、だけど石板の場所がとんと分からないんだよ」

 困ったような表情を浮かべるメシヤ。


「ネタバレにはなってしまうのですが」

 奈保は若干躊躇したようにも見えた。

「攻略本でもあるの?」

「ええ、私もRPGでヒントを与える町人程度の存在なのですが、いつまでもこの時代に 

いられる保証はないものですから」

「さらっとすごいことを言うね、レオンくんは」


五大所山ごだいしょやま時牢岩じろういわがあるでしょう?」

「ああ、あの絶妙なバランスで二つの岩が一個の石を支えてるやつだね」

「そうです。ブツはその時牢岩ですよ」

「ええ? あんなの普通の石に見えるよ? 確かに、なんであそこにあんな大きな石があるんだろう、とは思うけど」


「メシヤくん、あなたがまだ知らない聖剣の使い方があるのです」

もったいぶったような物言いのレオン

「いろいろ試してみるのもメシヤくん自身のためですよ」

(そして、世界のためにもね)


「うん、分かったよ。ロープウェイでは行けないから自分の脚でそこまで行かないとね」

「はい。くれぐれもお気をつけください。ご武運を」

 メシヤが右腕を斜め前方に掲げようとすると―――

「メシヤ! それをしたらワタシでも許さないヨ! ワタシたちはその敬礼をした男に非道い目に遭わされたんだかラ!」

 エリが血相を変えて怒りだした。


「ああ、ごめん。ちょっと軽はずみだったよ」

「戦争に負けるとはこういうことです」

 奈保が小さな声でメシヤに声をかける。

「何が正しくて、何が間違っているのか。僕たちも当たり前と思わされている価値観を疑ってみる必要がありそうだね。特に、戦勝国の言いなりになっている日本人は」

 奈保は静かに頷いた。






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