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クッキング・マナ

「もしや、これは・・・?」

 兄妹で目を合わせ、うなずく二人。良質な牛ヒレ肉は冷蔵庫へとりあえず仕舞いに行った。


「北京ダック!」「ラムチョップのロースト! 」


「「・・・」」


「何も起こらないね」

「いや、まだだ」


「海鮮天丼!」「黒トリュフのリゾット!」

「盛岡冷麺!」「アワビのグリーンパスタ!」

「あん肝の照り焼き!」「フォアグラのアスピック!」


「駄目だな・・・」

「駄目だね・・・」


「さっきと何が違うんだろうな」

「う~ん、分かんないね」


「しゃあないな。マナ、仕込みを始めよう。ジャガイモはまだあったよな」

「残り少ないかも」

「なんだなんだ、ジャガイモも品切れ・・・うおっ!」


 聖杯にあふれんばかりのジャガイモがあらわれた。

「わー、助かるー!」


「分かったぞ!」

 メシヤが声を上げた。


「お前の名前に反応するんだよ!」

「わたしの?」


「ああ、マナの壺の伝説は本当だったんだ。さしずめこいつは、マナの聖杯だな」

「すごーい! お店も大助かりだね!」


 このあと、藤原兄妹は調子に乗って食材を次々に《オーダー》した。食べ物に困らないというのはありがたい。世界中の難民も救えるだろう。そして30分後――。



「もうこれくらいでいいかな」

「うん、冷蔵庫もパントリーも食べものでいっぱいだよ!」

「良かった良かった」

 聖杯の使い方も分かり、満足気なメシヤ。だが、まないもうとの異変に気づいた。


「おい、マナ」

「ん? なに」


「お前、背が縮んでないか?」

 マナの身長は160cm以上あったはずだが、いまはとてもそんなにあるようには見えない。140cmぐらいだろうか。

「えー!」


「もしかして、もしかする?」

「そんなあ」


「お前の身長が代償ってわけか」

「でも、待てよ。体重と引き換えだったら、ダイエットには困らないな」

「それは女の子全員の夢ね!」


「成長の早い小学生モデルみたいな体型だったお前も、年相応になったな」

「これじゃ4年生に見えるよ! 女子高生に間違われることもあったのに」


「まあ、多分戻る方法はあると思うぜ。身長だけじゃなくて顔も若返ってるし、悪いことばかりじゃないぞ」

「若返るのはいいけど、小学生で身長止まるなんて悲しすぎる」


「タダ飯はありえないってことだな」

「それはそうだね! 食い逃げ許すまじ!」


 三種の神器のうち、2つを手に入れたメシヤ。残すは石板。

 はてさて、どこにあるのやら。







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