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Devil's Dozen

 赤い絨毯の敷かれた広間が見える。13段のステップを登りきったところに、瀟洒な金細工を施した椅子があった。そこに何者かが座っている。顔はよく見えない。


「ダニエル」

「はっ」

 片膝をつき、かしずくダニエル。


「失敗したようだな」

「申し訳ございません」


「私の計画は知っているな」

「もちろんでございます」


「私はな、あんな古ぼけた遺物が欲しいわけじゃないんだ。メシヤを本気で怒らせ、黄金の剣・白銀の剣の本来の力を引き出させたかったのだ。分かるな」

「はい」


「だが、妹が使えることは分かった。あいつには物理的な攻撃は無意味だが、今後の方策は見えてきた」

「そうですね。メシヤは武力では制圧できないでしょう。なにせ、ヤツ自身が最終兵器ですから」


 こんな密談が交わされているとも知らず、メシヤはいたって平常運転である。



「これどうやって使うのかなー」

 メシヤは聖杯を撫で回したり、ひっくり返したりして眺めていた。

「お兄ちゃん、使い方分かった~?」

 マナはこのあいだの人質騒動のことも苦にせず、あっけらかんとしていた。


「お前も我が妹ながら、たくましいね」

「アレクサンダーや信長だって、女の人から産まれたんだよ? 女はそれ以上に強いってことじゃない」

「違いないな」

 感心するメシヤ。


「それさ、洗ったほうがいいんじゃない?」

 聖杯という名前とは裏腹に、それはホコリにまみれてみすぼらしかった。

「水で洗ったくらいじゃ落ちなさそうだな。ガンコな汚れだよ」

「そうだね。焦げた鍋はもうどうしようもないけど、そんな感じだね」

「鍋のアルミが溶けるぐらい熱して、また固めたら汚れも剥がれそうだけどな」

「そんなのどうやってやるのよ~」


 マナの返答を聞いて不敵に笑うメシヤ。

「忘れたか? いまの俺にはこいつがあるってことを」

 両手で腰の二刀を触るメシヤ。妹には一人称が俺である。

「あー!」







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