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藤原兄妹

「お兄ちゃんいる~?」

 マナが入ってきた。


「おいおい、ここはトイレじゃないぞ」

「なんのこと?」


国際プロト標準コールマナーでは、ノック2回はトイレですることになってるんだよ」

「しないよりはいいじゃない」


「しないのは論外だな」

「本当は4回が望ましいが、日本では省略して3回でもOKになっている」

「へー、覚えておこ」


「で、何の用だ?」

「あー、ウンチクのせいで忘れるところだった!」

 マナが要件を思い出す。


「夜の仕込み、しなくていいの?」

「ああ、いま行くよ」


 めし屋フジワラの敷地内に、20坪ほどの蔵がある。ここが食料庫になっている。業務用の冷凍庫から、カチカチに凍ったマグロを取り出した。冷蔵庫にはキャベツやトマト、キュウリ、鶏のささ身・クラゲなどが整理整頓されている。どうやら、定食用のサラダや小鉢を作り置きしておくのだろう。


「あ、今日はバンバンジー?」

 メシヤは中華料理が世界で一番美味いと思っている。もちろん食堂なので、偏らないようにはしている。マナは女の子らしく、フレンチやイタリアンが好物だ。


「そう。ささ身があまり気味だし、クラゲも買ったばかりだったから」

 めし屋フジワラは在庫管理が徹底している。お決まりのメニュー表というものが無い。余っているものから先に使うように十数種類の献立を決めて、ブラックボードに手書きしている。ボードに無いものも応相談だ。


「ん?」

「どうしたの?」


「こんな箱あったかな?」

 なにやら古めかしい木箱が棚に置いてあった。かなりの年代を感じさせたが、作りは重厚で、鮮やかな装飾が施されてあった。


 メシヤが箱の中を開けた。ホコリにまみれてはいるものの、優勝カップのような荘厳な器が、そこにあった。






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