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君はTOMBOY

 聖ヨハネ北伊勢教会では日曜礼拝が行われている。宗派が違うので裁紅谷姉妹は欠席だが、メシヤ・イエス・マリアの姿があった。神父はメシヤに話があるようだ。奥の控室で向かい合う二人。


「メシヤくん、マリアから聞きましたよ。お手柄だったようですね」

 どうやら、夢賀渓での一件のことらしい。


「すみません、勝手に剣を持ち出して・・・」

 メシヤはバツが悪そうに詫びる。


「いいのですよ。あの女神像の剣には古くからの言い伝えがありまして、剣を抜いた者こそ、 

正統な持ち主である証なのです」


「でも、僕はただの食堂のせがれですし、好奇心で持ち出そうとしただけなんです」

 メシヤがめずらしく自分を卑下した。


「メシヤくん―――」

「はい」


「あなたの出自がどうであれ、メシヤくんの意志で多くの子供たちの命を救ったことは事実です。剣を持ち出したのはいたずらごころだったのかも知れませんが、つかみちは間違っていませんでしたよ」


「僕はあのとき無我夢中で・・・。でも、子供たちが無事でホッとしました」

「そうやって天狗にならないところがあなたの良さです。マリアも褒めていましたよ」


「ちょ、ちょっと、神父様!」

 立ち聞きしていたマリアとイエスがなだれこんで来た。


「メシヤはおだてるとドンドン変な方向へ突っ走ります!」

 自分の本心を照れ隠ししたいのか、話題をすり替えるマリア。


「マリア、あなたも素直じゃありませんね。メシヤくんの前だと―――」

「わーーー!!」


 神父の言葉に明らかにうろたえ、大きな声でかぶせるマリア。

「あ、あ、あたしはこいつの教育係みたいなものです。厳しくて当然ですよ」


「あなたもここへ住み込みを始めたときは、かなりのじゃじゃ馬でしたよ」

「へー」「ほう」

 メシヤとイエスが興味深そうに声を漏らす。


「あたしも神父様に導いていただいて、まっとうな道を歩めるようになりました。そんなあたしから見てもメシヤの異常行動は目に余ります」

 マリアには複雑な家庭の事情がありそうだったが、いまはそんな様子を微塵も感じさせなかった。メシヤとイエスもある程度、事情は知っているようだが、深くは聞かなかった。


「こんな時代に必要なのは、メシヤくんのような予測アンプレ不可能ディクタブルな・ガイですよ、マリア」

 神父は完全なメシヤ寄りなので、マリアは白旗を揚げて黙ってしまった。


 場が静まったところで、神父は本題に入る。

「メシヤくん、あなたは鳳雛剣と臥龍剣を手に入れました。ですが、この三重県にはまだ隠 

された神宝があるのです。それは――」


 黙って神父の次の言葉を待つ一同。

「聖杯と石板です」







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