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十九川の後継者

 十九川工務店の社長室にて、イエスと鷹山が話している。鷹山の願いで広忠にはさきほど席を外してもらった。


「イエスくん、このあいだの件は考えてくれたかな?」

 鷹山が威厳のある顔を柔和にさせて切り出した。


「せっかくのお話ですが、私は大学を出てから父の会社を継ごうと思っています」

 イエスは鷹山に失礼のないよう、申し訳なさそうに答えた。


「いますぐにという訳じゃないんだ。私も東海地方の経営者たちと会って、息子さんたちとも話をさせてもらっているが、イエスくんが誰よりも政治家に向いてると感じるんだ。これはお世辞でもなんでもなく、本心だよ」


「私もいまの与党の政治には憤りを感じます。鷹山さんは未来党の党首ですが、国民の声を 

じっくり聞いてくれていますし、江馬総理との党首討論では総理が答えに窮する場面をよく目にします」


「ははは、よく見ているね。ただ、なかなか世論は動かないんだよ」

「そうですね。総理がなにか発言するたびに、ネットでも礼賛や擁護する書き込みが殺到し 

ます」


「保守党は戦後60年以上も一党独裁を続けてきた。なぜだか分かるかい?」

「アメリカの意向ですよね」


「さすがイエスくん。話が早いね」

「ただ、ロックフォーゲル大統領は在日米軍を撤退させようという動きを見せていますし、いままでのアメリカ追従の体制が変わりそうな気がします」


「そうなんだ。私も彼を見て自分の若い頃を思い出したよ。日本もかつてジャパン・アズ・ナンバーワンと言われていた時代があった。アメリカから希望の星が生まれたんだ。日本からも次代を担う新星が生まれてもおかしくない」


「先日は言いそびれましたが、面白い男を知っています」

「ほう。誰かね、それは?」

 柱時計が午後6時を刻むと、天使のベルリラのようなチャイムが鳴り響いた。








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