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金田ぁ!

「この広告? みたいなの、このところよく見掛けるわね」

 PCを操作しているマリア。目障りなので、トラッキングはさせないようにしている。


「ああ、これね」

【あなたは部下をさん付けで呼んでいますか?】というリンクだった。メシヤは違和感を覚えたようだ。


「敬称は日本独自のものと思われていますが、海外でも敬語表現はもちろんありますし、日本人相手だと「~san」を付ける場合もありますわ」

 レマがメシヤたちを「~さま」呼びするのは、礼儀正しいからではないのだが。


「なんかサ、堅っ苦しくないかナ?」

 エリは賛意を示さない。


「俺は会社で一番若造だから、跡取りだろうと呼び捨てにされてるな。もちろん先輩達にはさん付けだ」

 建設業は体育会系で、上辺だけの礼儀はすぐ見抜かれる。


「う~んとさ。この議題の是非はともかく、それよりも自分のとこのお客さんに対して、その相手方がいないところでどう呼んでいるかのほうが、重要なんじゃないかな」

 店の人間が、客の去ったあとにその客を笑いのネタにしていることほど、聞き苦しいものはない。


「たしかに、メシヤさまがお店に来てくださった方を、そのお人がいないところで呼び捨てにしたり、陰口を言っていたとしたら、わたくしの気持ちも変わりそうです」

 よっぽど非常識なことをされた場合は、当然除外する。


「取引先を社内で呼び捨てにする光景は、残念ながらありふれている。だがメシヤの言うことはもっともだ。そうした物言いがネガティブなイメージを生み出してしまうし、相手への敬意も無くなって仕事への取り組みも投げやりになってしまう」

 いないところで何を言おうが相手に分かるわけが無い、ということでは、のちのち虎の尾を踏む結果になるだろう。


「そんなに器用に切り替えできないわよね。普段相手に対して思っていることが、どう取り繕っても、相手に伝わっちゃうのよ」

 マリアは考えていることが顔に出るので、特に気をつけている。


「このあいだのメシヤとマリアのやり取りハ、笑ったヨ!」

 メシヤが待ち合わせに来ないので、怒ってマリアが電話した時のことである。


《あんた、寝ながら喋ってるでしょ! 見えないと思ったら、大間違いよ!》

 姿勢は声にあらわれる。相手への態度は、想像以上に見透かされている。







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