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籠の中の鳥は

 ジョーカーを裏で操っている人間がいる――


 記者連中は共通の認識を持ち始めた。あるベテラン記者が、その疑惑についてジョーカーへと水を向けたところ、あっさりと“傀儡師”の存在を認めたのだ。


 ジョーカーも、自分は国家のリーダーたる器ではないことを自認していた。政策は上手くいっているが、自分の力ではない。そのことに重圧を感じるようになっていたのだ。

 ジョーカーは、そんなことに罪悪感を覚えるほど、生真面目な善人だったのだ。

 

 ジョーカーがブレイン役のロックフォーゲルの存在を世間に公表すると、その強烈な人物像にアメリカ国民は一斉に飛びついた。

 2メートル近くはあろうかという長身、15歳とは思えぬ自信に満ちた表情、口を開けば周囲を惹き付け沈黙させる話術、身のこなし、財力、どれをとってもパーフェクトな存在だった。


 疲弊したアメリカを復活させた功労者がロックフォーゲルだと知れると、彼はスーパースター以上の称賛を浴びるようになった。そして、彼こそが大統領にふさわしいという声が出るのに、時間はかからなかった。


 15歳ではあったが、資質は老獪な政治家のそれであった。ロックフォーゲルは民主主義の厳粛な手続きを経て、大統領になったのである。


 彼の一言一句、一挙手一投足を、世界中が注目するようになり、

「彼こそが聖書に預言された救世主だ」と口にする者も出て来た。


 日本の江馬えば総理もロックフォーゲルが大統領就任して早々、ご機嫌を伺いに訪米した。60過ぎの一国のリーダーが、15歳の少年にへつらう姿は、滑稽に映っただろう。





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