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パニック・ピクニック

「メシヤーー!!」

 マリアの金切り声が聞こえてきた。


「大変よ! バンガローが火事で燃えてる! 中に子供が何人か取り残されてるみたい!」

「分かった! いま行く!」

 メシヤはシャツを着る動作のまま、駆け出した。



 IHクッキングヒーターが普及したこともあって、いまの子どもたちは火を見ることが珍しくなっている。キャンプ学習に来て、ライター・マッチという刺激的な道具を与えられ、それが発火点になったと思われる。


 大人たちが慌てふためき、子供たちが泣き叫ぶ中、無情にも火の手はどんどん勢いを増していく。

「駄目だ! これ以上はとても近寄れん!」

 イエスが無念の表情を浮かべ、絶叫する。


「僕に考えがある!」

 タレ目・吊り眉のメシヤの眉毛が、さらに吊り上がった。


「うまくいってくれよ」

 メシヤは左手で金の柄を抜くと、バンガローの燃え盛る炎に向けて気を集中させた。すると、あれだけ猛烈な勢いで広まっていた火の手が、メシヤの金の柄に鳳凰のように姿を変えてとどまった。


「こいつの名前は鳳雛剣ほうすうけんだ!」

 水龍すいりゅうつるぎ臥龍剣がりゅうけん火鳥ひのとりつるぎ鳳雛剣ほうすうけん。メシヤも諸葛亮しょかつりょう龐統ほうとうよろしく、まだ世間に知られていない有望な傑物といったところか。


 子どもたちは何事が起きたのかと周囲を見渡している。


 メシヤは五メートルにもなろうかという火鳥の剣を、右手に持ち替えた。たちまち炎は柄の内部に吸い込まれ、消失した。柄には「טצץ」の文字が浮かび上がった。


「999ヒッツィだな」





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