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パストル・エテルヌス(永遠の司牧者)

「報道を見ていると、誰かを悪人に仕立て上げ、物事の終結をはかろうとしているように感じます」

「重いテーマですね。確かにそういうキライがあります」

 聖ヨハネ北伊勢教会で、マリアと神父ベネディクトが話している。


「誰かに責任を取らせて役を引きずり下ろしても、根本的な解決にはならないですよね」

 マリアが、メシヤたちと一緒にいる時とは違った表情を見せる。


「これは仏教の言葉ですが」

 マリアの問い掛けに、神父は真摯に答える。


「『怨親平等おんしんびょうどう』という教えがあります」

「怨親平等・・・ですか」

 マリアが人差し指を耳の下に当てて、考える仕草をした。


「なにか罪を起こした人間に対して、ここぞとばかりに厳しい言葉で責め立ててしまう。反対に、親しい人達にはべったりと依存してしまう。これは私たちのサガです」

 一点を見据えて、ベネディクトの話を聞くマリア。


「憎い敵だからといって怨んだり、気心の知れている人だからといって執着したりせず、平等に慈しみあわれむこと、と説いています」


「なかなか出来ることではありませんね」

 言葉では難しい理想と受け取ったが、マリアは微笑を浮かべた。


「私が世間の動静を見ていて感じるのは、差別発言をした人物をポリティカルコレクトネスで攻撃しても、人から差別感情は無くならないということです」


「神父さまのおっしゃることは分かります。人の発言を、ある意味手を使わない強制力で黙らせる訳ですから。お互いがなぜその感情に至ったのか、徹底的に話し合うことが必要だと思います」

 マリアは自分の幼少期を振り返っていた。


「分断ということが盛んに言われますが、ネットの書き込みが発端で凶行に走った実例があることを考えると、私たちは本当に普段からの発言に気をつけないといけません」


「はい、悲しい事件を起こさせないためにも」

 マリアは唇を噛みしめた。







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