やっぱり家が好きの巻
初めまして。初瀬 琴音と申します。
徒然なるままに、小説を書き始めてみました。
弐部に入りました。まだ全部書き終えてないので、投稿が遅くなることもあると思いますが、よろしくお付き合い下さい。
ブックマークしていただけると、嬉しいです。
ラバンディータ侯爵令嬢のアンティアは、領地の専属護衛のセオ、専属侍女のモモと共に王都から馬車に乗り、こんどは湖畔の町へ。
義兄のカイが話していたと言う、ラベンダーの新種を見て帰る事にした。
カイは、アンティアの二歳上の義兄で、父親ゆずりの赤みがかった紫の髪色と、鮮やかな紫色の瞳を持った、眉目秀麗な年頃の貴族だ。
「それにしても、不思議ですよね」
おもむろにモモが話し出す。
確かに、たまたま寄った港町で、たまたまお忍びで来た王太子妃候補が、誘拐される現場に立ち会うなど、かなりの確率だ。
(誘拐の目的もわからないし、強いて言えば、王太子に強烈なインパクトを与えて印象付けた。くらいよね)
「セオはどう思う?」
「お嬢様方の思考は、わかりませんて」
「なんか、違和感しかないんですよねぇ」
モモは、納得できない様子で、考え込んでいる。そうこうしているうちに、湖畔の宿場町に到着した。
ラバンディータ侯爵家で、よく利用しているという、宿屋に泊まる事になっている。
宿場町のシンボルとなっている湖は、空の色が溶け込んだかのような、深いコバルトブルーで、その周りは、色とりどりの草花に彩られているので、より一層、青みがひきたっている。
のんびり飛んで来ていた、アンティアの鷹のイブキ、セオのミカサ、モモのアサヒも水辺に降りてきて、各々好きに過ごしている。
ラバンディータ領では、城務めは一人1羽の鷹を飼育していて、互いの連絡に使っている。
小さい頃から、寝食を共にするので、なんとなく意思の疎通が出来ている気がする。あくまでも、『気がする』だけど。
少し離れた小高い丘の上に、ラベンダーの新種が植えられているらしい。
亡くなられた王弟妃がラベンダーの交配を手掛けていて、遺志を受け継いだ有志が十数年振りに成功させたそうだ。
故王弟妃のラベンダーは、コロンとかわいらしい球体の花体で、ティフォリアと名付けられたようだ。忘れられた王国の名前をもらい受けたらしい。
宿を出て、散歩がてら皆で見に行こうとすると、先の方からアンティアを呼ぶ声がする。
「おーい、大活躍だったみたいだな」
「義兄様!」
頭上では義兄、カイのシキシマが旋回していた。
※
宿の前のテラスで、一時話し込んだ後
「久しぶりに競争するか?」
と、カイの声かけに、するする!と声を揃える。
幼い頃、よく皆で湖を一周して、速さを競っていた。
「何言ってんの?あの頂上でティフォリアの花を摘んで帰ってくるんだよ」
カイが、少し離れた小高い丘の上を指差して言う。
え?と思っている間にも、カイとセオは走り出している。
慌ててアンティアとモモも後を追い、駆け出した。
※
「セオは、どう思う?」
走りながら、カイがセオに聞く。
「何かしらの意図があったと思っています」
カイも、モモと同様に違和感を感じていたようだ。
セオ自身も、わざわざ目の前で誘拐劇を演じていた様に感じていた。
(古城もそうだ。あんな分りやすい所に隠れるか?それに、爆薬の意図がわからない。音と光が激しいだけで、破壊力はさほど無かった)考えれば考える程、違和感しかない。
「お嬢だけですよ。、まったく気にしていないのは」
氷で作られたナイフを、心置きなく投げまくっていたアンティアの姿を思い出し、クスクス笑いながらセオが答える。
カイと、セオは違和感の正体を確かめるため『イークサロニー伯爵家』を調べる事にした。
「故王弟の件と接点があるとまずいですね」
「面倒に巻き込まれないといいんだけどね」
『アンティアは、面倒事ホイホイの気があるから心配だ』
二人の声がそろう。
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