ある日、恋は突然に。の巻
初めまして。初瀬 琴音と申します。
徒然なるままに、小説を書き始めてみました。
壱部は、書き終えていますので、随時投稿させて頂きたいと思います。
よろしくお付き合い下さい。
侍女が、「回復魔法で役にたてると思うので、一緒に連れていって欲しい」と頼み込んできたため、『お嬢様救出大作戦』に参加する事となった。 本当は、お留守番でお願いしたかったんですが……ねっ?
宿屋に馬を借りて、アンティア、セオ、侍女の三人は、犬の後を追う。
一本道のようなので、迷う事はないと思うが、鬱蒼とした森の中、だんだんと物悲しい雰囲気になってくる。不安を感じる。
(どんどん森の中に入っていくんですけど……)
急に目の前が開けた。草木が生い茂る中、古城だけがそびえ立っている。月光に照らされ、蒼白く光っているように見える。雰囲気がある。
(貴族の別荘にでも使われていたのかしら?)
式犬が、古城の前で、シッポを振りながら、アンティア達を待っていた。どうやら、ここに、お嬢様は連れ込まれたようだ。
城門の前で、木々の影に三人は隠れながら、コソコソ相談する。
『とりあえず、お嬢様が何処にいるか確認するのが先でしょうね。』
『私、戦闘苦手なんですけど。』
『忍び込める場所を探さないと。ですね。』
急にセオが、刀の柄に手を掛け後ろを振り向く。
アンティアと侍女もつられて、後ろを向くと……
「お前達、何をしている。」
※
騎士団と王太子にその側近までが勢揃いしていた。
ラバンディータ辺境伯家とは違い、生粋のお嬢様家では影の護衛も付いており、お忍びで出掛けたのもバレバレだったようだ。
お嬢様は、王太子妃候補の一人だったので、誘拐事件は、すぐに王家に連絡が行った。
侍女には護衛が付いていなかったので……(私達が気付いてよかったわ、本当) と、アンティアは、ホッと胸を撫で下ろすのだった。
突入と悪党退治は、専門家にお任せして、アンティア達『お嬢様救出隊』は、お嬢様の発見に全力を注ぐ事にした。
騎士団の後方から、こっそり侵入し、手近な部屋から探索していく。
『お嬢、火薬の臭がしませんか?』
セオは鼻がいい。アンティアには、まったくわからない。
とりあえず、臭いの濃い方向へ行ってみる事にした。
『自分の魔法と火薬は、相性悪いんで、頼みますよ。』
セオに頼まれた所で、アンティアの術も相性が悪い。(紙よ?所詮、燃えるわよ?) ちなみに、セオの得意分野は火魔法です。
敷地のだいぶ奥まった所にある、礼拝堂の様な扉を開けるてみると、王太子御一行と出くわした。
ビンゴ!
調度品の奥に、お嬢様が着ていそうなドレスの裾が見える。
「……!」
言葉にならない声をあげて、侍女が走り出す。
その瞬間、閃光と共に爆音が聞こえた。
アンティアは、とっさに連鎖人型を投げ、爆発から自分達を守る。傍目から見たら、防御魔法に見えるはず。
砂煙が酷くて回りが確認できない。爆発が続く。
アンティアは、身を守りながら、お嬢様と侍女がいるだろう方向へ進む。
砂煙の隙間から、物陰に導火線があるのか、火花が見えた。
ふと隣をみると、氷を纏った剣を振りかざしている、イケメンが目に入った。
「ねぇ、あなた。氷のナイフをいくつか作れないかしら?」
「何?」
と剣をふるいながらも、アンティアに、氷のナイフを数本出してくれた。器用なもんだ。
感謝を述べつつ、導火線らしきものが見えた所に投げる。『当たって!』と祈りつつ。
祈りが通じたようで、爆発を止めることができたようだ。
「すごいね」
と、イケメン氷が称賛してくれる。
ホラッと言いながら、氷のナイフを次々と出してくれた。
(共闘ってやつ?身内以外とでは、初めてだわ)
他にも、いくつか導火線らしき物が見えたので、氷のナイフを飛ばし、火を消す。
後方にいる王太子は、つむじ風を起こして、砂煙を排除している。視界良好だ。
セオが侍女と本物のお嬢様のいる所へ走る。私は、邪魔してくる悪党にナイフを投げる。氷だけど。イケメンと騎士達は、剣で応戦している。
ひときわ大きな爆発音がして、砂煙が舞い上がる。
(……私、初めて見ました。人が恋に落ちる瞬間……)
アンティアの手から、氷のナイフが落ちる……
いかがでしたでしょうか?
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今日も、良い一日になりますように。