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魔術だらけの世の中で、式神使いはどうでしょう? 式だって魔術だい!  作者: 雪 琴羽
~とりあえず、王太子妃候補から逃げましょう~
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お嬢様、救出大作戦!の巻

アンティアとセオは、梟を先導させ、洞窟内を進むが、誰もいないようだ。

突き当たりの、ガランとした暗闇に、木箱が一つ…

コツコツ叩くと返事がある。アンティアが、ナイフを使って木箱をこじ開けると

「ありがとうございますぅ。」と、泣きつかれた。


どうやら、彼女は侍女らしく、お仕えしているお嬢様とはぐれたらしい。(はぐれるってなんだ?)と疑問符が、アンティアの頭に浮かぶ。

疑問を問いかけようとした矢先、セオが、緊迫した様子で伝える。

「お嬢、水かさが増してきてませんか?」


アンティアは、慌てて足元を確認する。

(もしかして、侍女は…始末する予定だったの?)

急いで、皆で洞窟の出口に向かうが、海水が膝まで上がってきている。

ベソをかく侍女を、叱咤激励しながらなんとか外に出た。

(それにしてもおかしい。路地裏では侍女しか見ていない。どういう事だ?)



アンティア達は、塩水の恐怖から逃れ、岩場近くの窪みで一息つきながら、侍女の話を聞いている。


「要約すると、お嬢と似た思考のお嬢様が、この世の中にはいる。っていう奇跡ですね。」

セオは、妙に納得したようすで、頷いている。


隣国の船が寄港している噂を聞いて、興味本位にお忍びで来てみたら、悪党に目をつけられて誘拐された。という事だそうだ。

(家紋入りの馬車で、護衛も付けてないって……少人数=お忍びじゃないわよ? まぁ、犯罪率も低いければ、警戒心も薄れるわよねぇ)

と思ったところで、アンティアは気付く。


「……そうすると、本物のお嬢様が危ないんじゃなくて?」


慌てて、皆で自称お忍びの宿場(といっても、貴族用のだったけど)に戻るが、やっぱり本物のお嬢様はいなくて、部屋は荒らされ……てはなくて、上品に連れ去られたようだ。


あんまり他人の前で術は使いたくないんだけど、人命が掛かってるから…とアンティアは、セオの顔色を伺う。

『後で、記憶消しといてね。』

『・・・』

セオは、怪訝そうな顔をするが、仕方なしに頷く。


「何か、お嬢様の持ち物借りれるかしら?できれば、櫛がいいんだけど。」


アンティアが、小首を傾げながら頼むと、侍女は、不思議そうな顔をしながら、隣室から櫛を持ってきてくれた。

なるべく、侍女の視界に入らないように、ポケットから犬の型紙を出した。

櫛から、お嬢様の髪の毛を拝借し、折紙の折り目に、その髪を入れ込む。

そして、息を吹き掛けると…

「ワン!」 犬が外に駆け出していく。


目を見開き、手は口元を覆って、明らかに驚いている侍女の目をセオが手で覆い、何かを呟くと、そのまま目を閉じて崩れる様にもたれ掛かってきた。

セオがゆっくりと、侍女を椅子に座らせる。


アンティアは、犬に意識を集中する。

どうやら、森の方へ向かっているようだ。


「あんたが回復魔法使えたらいいのに。」

「そっくりそのままお返しします。」


疲れた身体に鞭打って、犬を追いかけようとした時、急に後ろから声がした。


「私、簡単な回復ならできます!」


椅子に座らせていた侍女だ。

(回復持ちだったなんて!渡りに船?棚からぼたもち?とにかく、ラッキー!)


嬉しさを隠しきれないアンティアとセオは、侍女様に回復魔法をかけてもらう。

(素敵!身体が軽い!この世の果てまで駈けて行けそう!)


「腹ごなしに丁度いいわね。」

「女の子が、腹とかいいません!」

アンティアは、侍女に怒られた……

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