イブキ、セオを呼ぶの巻 (セオ目線)
初めまして。初瀬 琴音と申します。
徒然なるままに、書き連ねました。
楽しんで頂けたら幸いです。
ブックマークしていただけると嬉しいです。
この節は、セオ目線です。ご了承下さい。
なにやら、森が騒がしい。
騎士団の訓練場で鍛練を行っていると、王家の森の方で鳥の鳴き声が騒がしい。何かやっているのだろうか。
「そういや、今日は未来の王太子妃が王家の森でピクニックをするらしいぞ」
「警護に呼ばれてないよな?」
「なんでも、殿下も一緒らしいぜ?お忍び的な?」
一瞬、空気が凍った……
「おい、今日の殿下の予定はちがうぞ……どこかで視察だぞ。第二騎士団が同行してたぞ……」
「おいおい、不味いんじゃないか?」
胸騒ぎがする……
「未来の王太子妃はお茶会じゃなかったか?俺の妹に招待が来てたぞ?」
「俺の家も……」
「確認取った方がいいよな?団長!」
クワッ、カッカッカッ、クワッ、カッ
いきなり頭上で、イブキの鳴き声がする。
防具の上で羽繕いをしていたミカサも飛び立ち、一緒に鳴きながら、円を描いている。
肩に、アメシスト色の小鳥が止まった。耳元で囀ずる……
『…セオ…』
急に頭の中にお嬢の声が響いた。
イブキの鳴き声もおかしい、何かあったんだ、急がないと!
「団長!俺、行きます!」
後方で何か叫んでる声が聞こえたが、近くにいた軍馬に跨がり駆け出した。
「お前らも追え!」
団長の激が飛び、皆、一斉に馬で駆ける。
※
お嬢、間に合ってくれ。
ここから、王家の森まで数キロ程、軍馬で駈けて5分位だろうか……間に合うか?
お嬢の腕なら、ちょっとやそっとじゃ……モモもいる
……大丈夫、大丈夫……
必死で不安な気持ちを押し込め、頭上のイブキを追う、間に合ってくれ!!!
※
王家の森の中に入ると、血生臭い。
馬車止めがあったはずなので、そこに向かう。
ピクニックなんて雰囲気じゃない、殺気が凄い。
警戒しながら進んでいると、他の騎士団の仲間も追い付いてきた。
「異様な雰囲気だな……」
と、いぶかしげに辺りを見回す。
すると、頭上から人が落ちてきた。
「セオ、来てくれたの?」
「モモ?!」
モモのお仕着せは、あちこち敗れ血がついている、左腕からは出血もあるようだ
「お嬢はロッジ付近のはず!私達、はめられた!」
悔しそうに顔を歪めて続ける。
『イークサロニー伯爵家は黒よ。お嬢を連れて港町で落ち合おう。誰も信じちゃだめ。お嬢は伯爵家の侍女と一緒のはず』と、耳元で告げられる。
「お嬢は任せたよ!私はもう少し回りを掃除しておく。あとでね」
ニカッと笑って、モモは頭上の人となった。
「うわっ、なんだ?」
「お前ら、王家に反旗を翻すのか?」
急に次々と黒集団が、騎士団に襲いかかってくる。
セオは、アンティアの姿を捜しながら、ロッジの中に入った。倒されている敵の数々を見ると、思わずにやけてしまう。
(やっぱ、強えーな……)
時折、飛び出してくる敵を倒しながら、だんだんと焦りが沸いてくる。
(この数をお嬢一人で?無理だろ?急がないと!急がないと!)
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いってらっしゃいませ