ラバンディータの総意の巻
初めまして。初瀬 琴音と申します。
徒然なるままに、書き連ねました。
楽しんで頂けたら幸いです。
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ラバンディータ侯爵の元に、カイから手紙が届いた。
アンティアと故王弟妃との繋がりを勘ぐる貴族が出てきた事、イークサロニー伯爵家と故王弟夫妻の事故との関係や、王家の関与も疑わしくなってきた。
とある。
「これは厄介な事になってるなぁ」
侯爵夫婦は、執務室で考えこんでいる。
王太子妃がイークサロニー伯爵家に決まったのだから、もうラバンディータには、ちょっかいをかけてこないと思ったのだか、それより……
「アンティアがアンナ・ティフォリアの娘だとバレる方がまずいな」
「急いで、逃がす準備をしましょう、私達も王都に迎えに行った方がいいかしら?」
当時、今の国王陛下と王弟殿下との間に継承者争いが無かった。という訳ではない。
その取り巻きの間で、ひと悶着あった。
早々に王弟殿下は、継承権を放棄して落ち着くかと思えたが、強硬派が王弟殿下一派の掃討を企んだ。
ラバンディータは国境警備を第一としているので、中立を貫いていたが、そうとは考えていない一派がいた。
王弟妃の出身 忘れられた王国ティフォリアが、ラバンディータ、ロマリン両国と古来より友好関係を築いていた為だ。
しかし、忘れられた王国ティフォリアは自然災害で亡国となった。
それと、同時期にカイと婚約予定の令嬢も帰らぬ人となってしまった。
※
侯爵は王弟夫妻の事故が起こった日を思い返す。
あれは亡国となっても三ヶ国の友好関係は永遠に続く事を誓う祭典を行った後だった……
王弟殿下方一行の馬車を見送り、ロマリン侯爵家族と無事祭典を終えられた事を、お互い労っていると、風に乗って騒ぐ声、怒号?が聞こえきたかと思うと、激しい地響きと爆発音がハッキリ聞こえた。
あわてて両侯爵家族は、王弟殿下方一行の帰られた方角に向かう。
そこで、信じられない光景を見た。
深くドーナツ円上にえぐれた地面の真ん中に、ラベンダーの花束を握りしめて泣きじゃくる幼子。
回りには、全身黒づくめ人達が倒れていて、近くには壊れた馬車が落ちている。
幼子の回りを式が守っている、この術は……
ラバンディータ侯爵が近付くと、彼の頭の中に声が響く
『汝、わらわの愛し子を守れるか?』
『姫は殺されてしまった。この愛し子は守らねば』
『汝、守れるか』
「アンナ・ティフォリア様に代わり、お守り致します」
ラバンディータ侯爵は、式に近付き膝まついた。
すると、一際大きな式が、泣きじゃくっている幼子を抱えて、侯爵に引き渡した。
『汝、約束を違えるでないぞ』
アンナ・ティフォリア
忘れられた王国の娘で、王弟妃。
そして、ティフォリア王国はラバンディータとロマリンと同盟を結んでいる。
実のところ、ティフォリア王国は滅んでいない。
そして、式神使いの国でもある……
王弟殿下を領地に呼び出して、暗殺しようとした疑いをかけられたラバンディータ領とロマリン領は一時、国直轄地となったが、直ぐに返還された。
亡国となった王弟妃の出身国ティフォリアとの友好関係を未だに誓っている両国が、王弟殿下を無き者にする理由がない事と王弟派閥側と見られていたからだ。
また、王太子派閥側(現在の国王)のイークサロニー伯爵家縁の者が関与している。と真しやかに囁かれていた。家紋の入ったハンカチーフが落ちていたと……
アンナ妃の一人娘は亡くなった事にして、滝砦に匿った。万が一の時は、一人でもティフォリアに帰れるように護身術と淑女の作法をしっかりと教え込んだ。
そこら辺の軟弱な騎士より強いはずだ。
そこは生き残るために、淑女らしからぬ事を教えた。『命あってこそ』だ。
アンティアの配偶者には、ティフォリアの事を話さないといけない。秘密を共有できる家柄かどうか、しっかりと吟味しないといけない。
秘密は少数で守るに越したことはない。ここは、ロマリン家次男のセオに頑張ってほしい。
と、ラバンディータ侯爵は考える。
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