第5話 接触4
江戸城に招かれた新崎一行。
江戸城にて驚くべき人物と対面するのであった。
「先輩、やっぱり帰りたいですね…」
「何言ってるんだ?小林、多分偉い人と会わせてくれるんだと思うぞ。」
「そうっすかねぇ…」
「ここでお待ち願いたい」
『はい』
案内人が襖を開け、その部屋に入った新崎一行。上座の壁には『あの家紋』があった。
「先輩、あの家紋って徳川家ですか…?」
「あの家紋どう見ても葵紋だし、恐らくそうだろう…」
案内され、正座する一行。
少し沈黙が続いた後、家康公が現れ、一行に声を掛ける。
「そちらが、あの鉄の船からやってきた者たちか?」
「はい、我々は日本国から派遣されてきた外交官とその護衛であります。」
「そうかそうか、それで我らと交友関係を結びたいということじゃな?」
「はい。その通りでごさいます。あと」
「申してみよ」
「この世界について聞きたいのです。」
「この世界について聞きたいと申すのか、そちらは元々この世に居たのではないのか?」
「はい。信じられないでしょうが、我々は3日ほど前にこの世界にやって来たのです。」
部屋が驚愕で包まれ、静粛が訪れる。そして家康公が口を開く。
「それは誠か?」
「左様でございます。ここから南東方面に進んだところに私たちの国があります。」
「…なるほどな。あいわかった。じゃが、そちらの希望には添えないだろう。」
「…?どうしてです?」
「この日ノ本は今、天下も分けるかもしれない戦をしようとしておるのじゃ。そちらがあの鉄の船のような力をわしらに助太刀してくれるなら別じゃがな。」
「……(天下を分ける…?関ヶ原の戦いか…大阪にも外交団を派遣して居たな、厄介な事になりそうだ。)わかりました。助太刀の件については、本国で検討します。」
「あいわかった。大義である。」
こうして、家康公との会談を終えた新崎一行はチヌークへ戻り、そして内閣に報告をするのであった。