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龍乳~ある飲み屋での一幕~


<……騒がしい居酒屋の店内、

どの席も他愛のない話をする者達で溢れかえっている、


……そんな中、居酒屋だと言うのに酒も飲まず、

白濁した液体をひたすらに飲み続けている一人の女性が居た――>


………


……



「お姉さん龍乳おかわりっ! 」


「またかい? ウチは飲み屋だよ? 」


「ですから龍乳を‘飲み'に来てるじゃないですか! 」


「酒は飲まないのかって聞いたつもりなんだけどねぇ……」


<……若女将は呆れながらも彼女のグラスに龍乳を注いだ>


「しかし……なんだって龍乳なんてモンをそんなに沢山飲むんだい?

本来酒を早く抜く為の物だよ? 酒を飲んでないアンタがそんなに飲んで、


……ドラゴンにでもなるつもりかい?」


「え~っ! ……知らないんですかお姉さん!?


健康に良くて肌も髪も綺麗になる上、育乳にも良いのにっ! 」


<女将に対しそう興奮気味に訴える女性は

確かに肌艶も良く……ふくよかである。


女将はこの客の迫力に押されつつも切り返した――>


………


……



「……アンタの家系は代々巨乳揃いだろっ! 」


<――女将にそう突っ込まれた女性客だったが、それでも引かずこう続けた>


「それはごもっともな意見なんですけどっ!!


でっ、でも聞いてくださいよ!!


……お母さんもお父さんもお姉ちゃんも皆、

龍乳を飲み始めてから全く風邪をひかなくなりましたし、

一番太ってたお父さんなんて若い頃の服が入る様になったって喜んでますし!

だから必死で飲んでるんですよ!


……美味しいですしね♪ 」


<……そう女将に微笑みかけながら言い放った彼女の態度に

最初は疑っていた女将も自らの腹部に目をやり、少し考えた後――>


………


……



「まぁ……騙されたと思ってアタシもやってみようかねぇ。


余り大きな声じゃ言いたくないが、その……


……最近ちょっとお腹周りが気になってたんだよ」


「やっぱりっ! ……ですよね?!

……最近肥えたなぁって思ってましたから! 」


「……出禁にするよ? 」


「……ごめんなさい、口が過ぎました」


………


……



<――この後、この居酒屋で繰り広げられた他愛のない会話は

噂話で世界中に広まり、肥満に悩む者達の多いこの世界では

‘龍乳減量法’なる減量方法が大流行してしまったのであった。


……だが、この世界の人々は知らなかった。


龍乳に減量効果などは一切無く

単にこの世界に住む者達が皆‘龍乳不耐症’で

ただ単純に腹を下し続けて居た為に痩せただけなのだと言う事を……>

最後までお読み頂き有難うございました、駄文や至らぬ点多々あるかと思いますが、

そこも含めてコメディとして受け取って頂ければ幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  まさかの理由。竜だけに。お粗末でごめんなさい。 [一言]  つまりこの世界の竜はカモノハシみたいに哺乳生物であり、希少種保護の概念が生まれる時代まで種の保存運動がはかられる可能性もある。…
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