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Scene25 白の中の悠久のアヤ・ソフィア

 トルコ・イスタンブール・アヤ・ソフィア大聖堂


 同じ街でも時代によって違う国であったり、違う名前の街であったことがある。


 ローマ帝国・ビザンティン

 東ローマ帝国(ビザンティン帝国)・コンスタンチノープル

 オスマントルコ帝国・コンスタンチノープル

 トルコ共和国・イスタンブール


 同じ大地が

 違う名前の国を冠した

 違う名前の街になった

 違う民族が暮らした

 違う宗教を信仰した


 東ローマ帝国の都であったコンスタンチノープルがオスマントルコ帝国のメフメトⅡ世によって陥落したのは1453年のことだった。


 難攻不落といわれたキリスト教の都がイスラム教の帝国に堕ちた。


 永くキリスト教の信仰の対象だったアヤ・ソフィア大聖堂に描かれているキリストのフラスコ画は偶像崇拝を禁じているイスラムの帝国によって塗りかためられてしまった。

 その後イスラム教のモスクとしての役割を担い、オスマン帝国が滅亡しトルコ共和国となり、現在は博物館としてその姿を残している。くだんのキリスト画は塗り固めた塗装をはがし、上半身のみイエス・キリストを見ることができる。


 吹き抜けの空間にドーム型の天井。

 明かりとりの窓から冬の弱い日差しがゆるやかに入ってくる。

 

 オスマントルコ帝国時代には君主の居城であるトプカプ宮殿からほど近いこのアヤ・ソフィアが君主の金曜礼拝の場となり、帝国において最初のモスクであり、最も格式の高いモスクとなった。



 この都に

 雪が降るのは珍しいことだそうだ


 かいた氷のような雪

 ぼた、ぼた、ぼたと

 音がするような雪

 積もることなく地面を濡らす雪

 国も宗教も変えてきた悠久の大地をその雪は濡らす


 アヤ・ソフィアがモスクとなってから建てられた天を仰ぐ4本のミナレット(尖塔)

 薄紅色の壁に白い氷が舞い降りる

 ボスボラポス海峡にも降り沈みゆく雪

 白く

 白く

 十重二十重の雪のヴェールのその向こう


 一千年以上そこに佇むその聖堂に降りかかる雪はこれで何度目だろうか。

 十字架や三日月は知っているだろうか。

 それを数え得るのは

 この大地と

 海峡と

 空くらいだろうか。


 この大地に降り積もるように積み重ねられてきた歴史のようには今日の雪はならないらしい。


 それでもしんしんと降り止まぬ雪

 溶ける白は透明となりて染み込んでゆくはその大地

 その昔艦隊が陸超えをしたという丘陵地を下り辿り着く先はかつて黄金に輝いた金角湾


 キリスト教の皇帝も

 イスラム教のスルタンも

 この大聖堂から眺めたことがあったのだろうか

 いつの世も

 変わらず

 舞い降る雪を

 天からの

 変わらぬ情景を



【描写した場所】

トルコ共和国・イスタンブール歴史地域

☆イメージカラー:スノーホワイト (snow white)

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