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八英雄が一人「豪神」の実力

今回は少し長めです!

いつも通りの朝、今日はミーニャ、クライス、ミルネ、ヤミナの4人と朝ごはんを食べた。

早く起きなくてもいいミルネとヤミナがこんな早く起きてくるのは結構珍しい。

俺はキッチンに食べ終わった食器を持っていき水に浸す。


先に食べ終えていたミーニャとクライスは既に仕事に出掛けて行った。

毎回、行ってきますのハグは恒例化してきたから抵抗するのはもう諦めた。別にめっちゃくちゃ嫌って程でもないしそれくらいで頑張れるならいくらでもやってあげても…やっぱやだ。


そんな事を考えながら自分の食器を片付ける。

あ、そう言えば食器拭き用のタオル洗濯しちゃったんだっけ。


「ヤミナ、棚の上に乗っかってる箱に入ったタオル取ってー」


丁度席を立ったヤミナにタオルを持ってきてもらうようお願いする。

何やらミルネと話をしてたけど纏まったのかな?


「はい、持ってきたわよー」

「さんきゅ」


俺はヤミナからタオルを受け取るとミーニャとクライスの分の食器も拭いていく。ご丁寧に「すまない!後で好きな物買ってあげるから許してくれ!」って張り紙が貼ってあった。まぁ場所教えてなかったからしょうがないか。ミーニャにおいては長すぎて読む気が失せるくらいだ。


それから掃除、洗濯等を片付けて自分の部屋に戻る。いつもは魔法の訓練をやるけど今日はライガさんに兵練場で稽古をつけてもらうから無しだ。


クライスも居るはずだから2人に見てもらうって事になるからちょっと気合い入れないとな。


剣の稽古は夜欠かさず行ってる。1日でも振らないと鈍りそうだから。なにより、振るのが楽しい。技の重ね合いとか体の使い方とか、魔法とは別の視点でやるから違う楽しみがある。

別に魔法の訓練が嫌いって訳じゃないしむしろ楽しいけど単純に俺は体を動かすのが好きなだけ。


それから


軽めの服に着替えて玄関に向かう。大きめのリュックに後ろのポケットに許可証を入れて準備完了。


「よし、行くか」


先に準備をしてるって早朝から兵練場に向かったライガさん。凄いワクワクした顔だったから余っ程楽しみなんだろうな。まぁ俺もすげぇ楽しみなんだけどね。


家を出た俺は自然と速足で兵練場へと向かって行った。


「おぉ!早いではないかユウ!」


兵練場へ着くとそこではライガさん対、他数十名の王国兵士が模擬戦をしていた。

俺は奥で座っているクライスの元へ行って話を聞くと、クライスが着いてから30分以上これを続けているらしい。多対1はクライスも実践しているらしく結構普通の光景らしい。うん、普通がわかんない。


ビックリするのは割と王国兵士の人が奮闘しているところだ。少し申し訳ないけどあっという間にやられるかと思った。まぁ伊達にクライスと何度も戦ってないか。


それから20分後、汗をかいて俺達の所にやって来ると清々しい笑みで「準備運動が終わったからやるか」って言ってきた。あれで準備運動かよ…なんて言わないからな。


「ユウは準備運動とかはいいのか?」

「家からここまで走ってきたから大分温まってるよ」


俺はクライスから木刀を借りて前に進み出る。途中すれ違う兵士の人に心配されたけど大丈夫だろ。俺も少しはやれるから。


模擬戦をしていた兵士の人が全員後ろへ下がり場外へ出るのを確認するとライガさんは構えをとる。

見るだけで惚れ惚れする型。無駄を全て省いた隙のない型。ライガさんの戦型は間合い構築、受け流しを得意とするカウンター型。これをどう斬り崩すかが問題だな。


俺は肩の力みを抜き自然体になる。

さて、やりますか。


ーーーー


今も始まりそうな雰囲気を醸し出しているクライス様達、英雄様の子供対、「豪神」ライガ様の一騎打ち。


「あのークライス様」

「何だ?」


俺は後ろにいる皆を見て頷き全員の代弁者として聞く。


「これ試合になるのでしょうか?」


正直一騎打ちだと保って数秒だと予想してる。それにいくら子供の為とはいえ兵練場まで使う必要があるのだろうかと思ってしまう。さすがにやり過ぎ感が否めなかった。


「はっはっは!そうか、お前達はユウの力を見るのは初めてか!ならよく見ておけ、ユウを子供だと舐めていると痛い目見るぞ?」


クライス様はそう俺達に言ってきた。侮っていれば痛い目を見る?俺達より強いってことなのか?後ろを向けば全員黙って2人の戦いが始まるのを待っている。


別に舐めていた訳でもないけど、それでも盛りすぎじゃないか?

俺が怪訝そうに見守っていると


「逆に聞くがユウは俺が認めた奴でもあるんだぞ?」


クライス様はまた笑いながら


「弱いと思うのか?」


自身たっぷりにそう豪語した。

その瞬間、戦いの火蓋が切って落とされた。


ーーーーー


今この時、ここぞのタイミングで足を踏み込みライガさんに疾走する。

それを読んでいたライガさんは斬り結ぶ方向へと剣を置く。だけど


ーそれくらい俺だって読んでるさ


「ふっ…!!」

「む!」


俺は木刀を逆手に持ちライガさんの木刀の刀身を紙一重というところで避け一撃を加える。

までは良かったのに


「せっこ!!」


ライガさんは有り得ない動きで木刀を既にその位置に置いていた。

いきなり使うとは思ってなかったし!やっぱりセコいぞライガさんの魔法!


ライガさんは「豪神」何て呼ばれてるけど戦いは結構理知的で力任せという場面があまりない。

それにライガさんの十八番「亜眼領域(プロトコルアイ)」という魔法は半径10メートル以内の全てのモノの動きを認知する事が出来るというデタラメ魔法だ。


「(って言うか使わないと思ってたのに大人気ないな!!)」


俺は悪態を吐きながらワンステップで後ろへ下がりそして数秒後下がった自分に後悔する。


「…やべ!!」


あっという間に距離を詰めてきていたライガさんに一瞬反応が遅れ木刀の防御が疎かになる。

元々身体能力共にバケモンみたいな八英雄。それを分かってたのに何で退いちゃうかなぁ俺!!これじゃ一気に主導権握られる!!


俺は力に流されるまま体を空中へと投げ体制を整える。体幹は良い方だしこれくらいはいくらでもできる。それにこうでもしないと


()くぞ!!」


着地した時にライガさんと張り合えないからな!


眼前へと迫る木刀を柄で相殺し足に魔力を溜め足払いをする。それも読んでいたライガさんは難なく避けるけどそれでいい。

少しでも距離が置ければこっちから向かうチャンスができる。


俺は痛む手は構わず足に力を入れ踏み込む。


「っらぁぁぁ!!!」

「おおぉぉぉ!!!」


俺は真っ向から勝負を仕掛けるとそれに乗ってくれたライガさんも小細工無しで真っ向から向かってきてくれた。


それから数十分後。


「負けたー!!!クソ悔しい!!」

「良い動きであったなユウ。この短期間でよくこなせものだ。」


ライガは俺に手を差し出して起き上がらせる。結局ライガさんには一刀も食らわせる事が出来なかった。勝てないまでもせめてって思ったけど…まだまだ先は遠いかな。

俺は土埃を払いライガさんと一緒にクライスの元に行く。


そしてクライスの所に着くとワッと一斉に兵士の人が寄って来て労いの言葉や凄いって褒めてくれた。少し気恥しいけど素直に受け取っておくとしよう。

後、忘れないうちに大きめのリュックから特大弁当を取り出し2人に渡す。

これから家に戻ってゆっくり休みたい。俺はクライスとライガさんにそう伝え先に帰った。


「お前らに足りないもの、少しは分かってくれたか?」


ユウが帰った後俺は部下の奴等に向かって弁当を食べながら話しをする。兵練場の壁はユウとライガの模擬戦でボロボロになっている。王城にいるミーニャに言えば数秒で直してくれるだろうから支障は無い。


「はい!ユウ殿からの戦意!確かに俺達にビリビリと伝わりました!!」


コイツらはどうせ勝てないからと直ぐに諦める癖があったからな。まぁ今日でそれは無くなるだろう。本当にユウには感謝しかないな!!後で神鉄金属(オリハルコン)の剣でも買ってやろうか!……あれ、でも何処で売ってるんだ?


そんな事を考えながら俺はユウの作った弁当を頬張った。やっぱりユウのご飯が1番だ!!今日の夕飯は何だろうなぁ!楽しみだ!!


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