古代種との邂逅~到着した四人の最強
フェリフェラリアまでは馬車で1時間ほど。今はその中間くらいまで来ただろうか、道中は特に何も無いありふれた草原だ。
馬車の中は5人は入ってもまだ少し余裕があるくらい割と広い。まぁ快適ではないけど。
ちゃんと補整された道ならいざ知らずゴツゴツ下道に入るとガタガタ揺れて居心地が良いとは言えない。
それは俺以外も思ってるわけで
「この道ウザったいわね」
腰をトントンと叩き悪態を吐くカーファ。まぁ分かる。分かるけどその拳しまってね。馬車殴ったら壊れるから。
前にも馬車壊したことがあるカーファ。理由はイラついたから。以上。ふざけてるよ全く。
あまりにも男からの求婚が多かった時期なんかは山半分消し飛ばしたからね。気性が荒い「龍殺し」ですこと。
そんなこんなで早くデコボコ道が終わってほしいと考えてると
「そうねぇ…直しましょっか」
ヤミナが地面に手をかざすとあら不思議。デコボコでゴツゴツとした道が綺麗な補整された道に早変わり…デジャブだね。
もうみたよこれ。
けど手綱を取っているライガさんは突然変わった道に驚きもせず淡々とひいている。流石だ。
「ユウ〜後どれくらいで着くの〜?」
ミルネは俺の肩に顎を乗せ気怠げに聞いてくる。コイツ…友達がフェリフェラリアに住んで偶に遊びに行ってるじゃん…何で道覚えてないんだよ。
俺がどうやってフェリフェラリアまで行ってるのか聞くと
「カーファの龍に乗って〜」
「…ん?」
何ととんでもない発言が返ってきた。それ初耳だぞ。
俺がカーファの方を睨むとサッと視線を逸らし口笛を吹いている。隠すの下手か。
って言うかこの英雄達は本当に常識を知らなすぎる。何で馬車があるのに龍に乗るんだよ。どこに龍に乗って隣国まで行く奴がいるんだよ。怖いわ。
まぁそんなこんなで馬車も順調に進み目的地の一歩手間で降りる。検問所のところまでしか今馬車は通れないらしい。そのせいで商隊とかが来ても引き返すようになってる。交易が狭まってるんだね。
仕方なく目的地まで歩いていると何やらデッカイ物が見えた。
「大きいわねぇー。」
「あれはベヒモスの亜種であろうな。しかしなにゆえこんな場所に」
ベヒモス。本来ダンジョンや洞穴に住んでるっていわれてる古代種のモンスターの1つ。
鋭い牙、そして角、爪が特徴のベヒモスは危険性が極めて高いモンスターで、並の冒険者では確実に出会ったら即死レベルだって聞く。
そんなのが本当に何でこんな場所に。
俺はリュックを下ろして回復薬とミズハさん特製の超万能回復薬を取り出す。
今は辛うじて死者は出てはいないらしいけどあんなのが居るって話しなら一刻を争うだろうな。
「それじゃあ宜しくね四人とも」
「うむ。任された。」
「は〜い」
「しょうが無いわね!」
「わかったわ」
指をコキコキ鳴らし、首を捻り、屈伸をする面々。
瞬間瞬く間にその姿形は俺の前から消えた。
まぁこれであっちは平気。
さて、俺も俺の仕事をやるとしますか。
「あのー、怪我人の所へ連れてってもらえませんか?」
俺は兵士の人の案内で医療テントまで足を走らせた。




