side story 【玲奈=エリス編】 Part1:新たな家族
前話の続きです。
サイドストーリーに変更しました。
あれから一月位?経った気がします。
どうやら私は、赤ちゃんになってしまったみたいです。
今でもその原因はわかりません。
でも、夢ではないのは確かなようです。
最初は本当に焦りました・・・声帯が使い物にならなくなったと勘違いをして、
泣き喚いたものです。
その後、メイドさん?の様な方が急いでやって来てくれました。
凄く綺麗な方です。
顔立ち、髪の色からして日本の方では無いみたいですね。
そのメイドさんは私を抱え、あやすように揺すってくれました。
そのおかげで、自分が普段の姿ではなく、小さな、と言うより幼い身体であることに気付けたのです。
メイドさんは何やら話しかけてくれていたみたいなのですが、何を言っているのか少しも理解できませんでした。
まるで、発声の仕方から違うかのような、そんな印象を受ける言語です。
これは・・・覚えるのに苦労しそうだなぁ、と思いながらも泣き止もうとしましたが感情が溢れ、
泣き止めむことが出来ず、私は困惑しながら延々と泣き続けました。
その後は泣き疲れたのか、意識が薄れていき、眠りにつきました。
それからは一度も泣いていません。
身体は赤子といえ、心は15歳ですし、恥ずかしいので何とか抑えています。
食事は離乳食を頂いています。
夕食時だけ皆さん集まって食べているみたいで、すごく賑やかです。
メイドさん方は立ったままでしたが、私の他に、三人の方が席につき食事を取っています。
座っている方々は、外国の中世、それも貴族の様な衣装を着ています。
20代であろう男性と女性、それと幼い男の子が一人。
顔はメイドさん方と同様、凄く整っています。
どうやら男の子を中心に会話が弾んでいるようで、和やか雰囲気が伝わってきます。
時々、皆さんが私に目を向けて語りかけてくれるのですが、未だに何を話しているのか理解出来ていません。
ですが、返事をしないと失礼かと思い、適当に言葉を発します。
これでは返って失礼ですよね・・・でも皆さんは微笑んでくれています。
とても申し訳ない気持ちで一杯になりますが、今は赤ちゃんという立場に甘えたいと思います。
就寝時は、大きなベットに先程の男性と女性に挟まれて眠っています。
どうやら私の身体であるこの赤ちゃんは、この方々のお子さんの様です。
身体を包み込んでくれているお二人の体温を感じます。
とても温かくて、私の身体も喜んでいるように感じます。
少し・・・本当に少しだけ、羨ましく思います。
これが、一般家庭の光景なのですね。
私には・・・両親はいませんでしたから。
正確には、両親は私が物心の付く前に事故で他界してしまったそうなのです。
でも寂しくはありませんでした。
私には少し年の離れた兄さんと、私たちを引き取ってくれたおじさん、父親の弟さんが凄く甘やかしてくれましたから。
幼い頃、私がテストで満点を取ると二人はいつも笑顔で頭を撫でてくれました。
それで二人が笑ってくれるだけで、私は幸せでした。
今でも、忘れられない思い出です。
そんな二人を今も心配させていると思うと、心苦しくなります。
早く戻って安心させてあげたいのですが・・・その為には、私の身体が入れ替わる前のこと、この国のこと・・・そしてこの身体のこと、詳しく調べる必要があるでしょう。
ですが、今はゆっくり休みましょう。
流石に赤ちゃんの身体では行動範囲が制限される上に会話もままならないですからね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あれから2ヶ月はたったでしょうか。
今では身体を動かすのも慣れてきました。
とはいっても、出来ることはハイハイで移動すること位なものですが・・・。
それと、重要なことがわかりました。
この赤ちゃん、女ん子だったみたいです!名前はエリスちゃん。
ハイハイを始めた頃に鏡を見て凄く安心しました。
実は男の子でした、なんてどうしたら良いかも分からないですし、喜ばしいことです。
それに、この子も家族の方と同様に可愛らしい顔立ちをしています。
一時とはいえ、私が、可愛いく映るという錯覚を覚え嬉しくなりました。
元の私の身体はThe・HEIBONでしたから。
思っていて悲しくなってきました・・・。
とにかく、情報収集です。
最近この赤ちゃんのお兄ちゃんである、アルティス君に本を読んでもらっています。
おかげで少しずつ、文字や文法も理解できてきました。
言語も照らし合わせながらですが、順調に学べていると思います。
アルティス君は、普段自室か書斎と思われる場所で読書をしています。
まだ幼いのに凄く勉強熱心のようで、読んでいる本は難しそうなものばかりです。
今日もアルティス君を探します。
少し移動していると、書斎のドアが開いているのを見つけました。
中を覗くと、すぐにアルティス君が目に映ります・・・ですがいつもとは少し、様子が違う気がします。
壁に体重を預け、本を抱えながらブツブツと独り言のように喋っています。
彼は、自分のことを『僕』といい、私にも優しく接してくれるのです。
ですが、独り言の中に『俺』という単語が混ざっているように聞こえます。
時折ニヤニヤとした表情をしますし、少し不気味です・・・ですが、それでも私は情報を集めなければいけません。
「あー、あうあう、あー」
私は声を上げ、近づいていきます。
すると、彼は普段通りに戻り、近くに本を置き座り込んでくれます。
いつものアルティス君に戻ったと思い安堵しながら彼のにより掛かるようにして、近くに置いてある本を叩きます。
「んー、読んで欲しいの?しょうがないなぁ」
「あう」
表紙も見ずにお願いしてしまいましたが、私にも理解できそうな童話のようです。
それから何冊か読んでもらい、一緒に書斎を後にしました。
それにしても、先程のアルティス君に何処か・・・違和感を覚えました。
普段の優しい彼が実は裏の顔であり、本性は悪質な詐欺師。等とおかしなことを想像してしまいました。
3歳児相手に、私は何を・・・。
その後、私はある程度の言語や文字を覚えたが、アルティス君を心の底からは信じられなくなりました。
原因を突き止めるまでは、私はアルティス君とまともな関係に戻れないと思います。
ですが、その方がいいのかもと考えてしまいます。
いずれは、離れる身体なのですから。
こちらで深い関係になるれば、離れる際に悲しまれ、私も辛くなるかもしれません。
・・・いえ、これは言い訳ですね。
私自身が傷つきたくないだけだと思います。
逃げている自覚もあります、ですがいいではありませんか。
当分私はこんな気持ちを抱えて過ごさなければいけないのですから。
これが罰だと受け入れ、元の身体へ戻る手段を探します。
一刻も早く二人の、兄さんとおじさんの元へ帰る為に――――。




