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転生勇者〜500年後の未来に転生しました  作者: 五月眠
神聖国レブームを目指して
9/10

セリスの演舞

お久しぶりです。凄く遅くなってしまいました。

 セリスと名前を呼び合う仲になってから一週間経った。

 あれから、一週間経った事もありノイド達の話によるとレブームには遅くてもあと三日程で着くらしい。

 そして今、馬車に乗せてもらった最初の時と同じようにノイド達の馬車にセリスと一緒に乗っている。


「氷魔法?」


「うん。後でゴブリンを倒す時に使った氷の魔法を見せて貰いたいんだけど駄目かな?」


「ええ、良いわよ。見せるのはお昼の時でいいかしらアレス?」


「ありがとうセリス。昼が楽しみだよ」


「アレスの期待に添えれる様に頑張るわ」


 本当にこの一週間でセリスとの距離が随分縮まったと思う。

 現に今、こうして頼み事もできる仲になったわけだしな。これで、氷魔法を間近に見れ更にセリスについて気になった違和感・・・・・・・・も分かるだろう。

 こうしてお互いの距離が近くなるまで気がつかなかったことなのだが最近セリスとの会話を凄く楽しいと感じている。

 思えば、あの村に暮らしていた頃は最低30歳以上は他の人と年齢が離れていた。

 そう考えたら、セリスが初めて会った同年代とい……

 

「アレスどうかしたの?」


「いや、何でもないよ」


「そう? だったらいいわ。それよりね…」


 どうやら、思っていた事が顔に出ていた様だ。

 セリスの青い瞳が俺を心配そうに見つめている。

 そうだな。そんな事を思うのはいつだってできる。今はセリスと会話する方が良いな。

 そして、俺はまたセリスとの談笑に戻った。




「アレス君、セリス様、そろそろ昼食を取る為に馬車を止めるよ」


 ハインの声だ。

 もう昼か。時間が経つのが早く感じるな。


「わかりました。ハインさん」


「了解しました。ハイン様」


 セリスと一緒に馬車から降りて目にしたのは、鮮やかな緑色をした草木と透き通った色をした大きな湖だった。

 湖は陽光を受けて湖面がキラキラと輝いている。どこからか小鳥たちのさえずりも聞こえてくる。

 

「「わぁ……」」


 セリスと二人で感嘆の声を上げた。

 感動している俺達の所にハインが笑顔で話しかけてきた。


「凄く綺麗な所だろう? ここは『ヤビットの森』と言って、レブーム地方の中でも五指に入る有名な森なんだ。この森を抜けたらレブームには着いたも同然だよ」


 ヤビットの森か懐かしいな。 アラン(前世)の時にも訪れた事がある。

 それにしても、ヤビットの森を抜けてもレブームまではまだ大分距離があったような…

  

「それじゃあ、一緒に昼食の準備をしようか」


「わかりました」 「承知しました」


 俺はナナシの所にセリスはノイドの所へ向かった。

 セリスは水魔法が使えるので、食事の用意の時はノイドと一緒に飲み水を出している。

 俺も当然使えるが皆には治癒魔法しか使えないと言ってるため、今さら水魔法が使えると言うのも何だしな。その為、食事の用意の際はナナシやハインと一緒に薪集めやらの雑事をしている。


 行商のリーダーの方を見ると手に提げるような、小さな袋(・・・・)から食器をいくつも取り出している姿が見えた。

 

 あの袋の事を知ったのは六日前だ。六日前行商用の馬車にしては少し小さい馬車だなと思い商人達に話を聞いてみた。そしたら馬車が小さいのには理由があった。それがあの小さな袋……いや道具袋のせいらしい。

 道具袋とは、俺がアラン(前世)のときに開発した代物で空間魔法と普通の袋を合体させた物だ。

 見た目は普通の袋なのだが袋の内側が空間魔法のおかげで大きな空間となっており、その中に沢山の物資を入れれるのだ。

 つまり、外見から想像される容積よりはるかに多くの物を格納することができる袋と言うのが一番説明しやすいな。で、話しを戻すと商人達曰く馬車を買う際に良い道具袋があったらしく、それをつい多く買ってしまってそのせいで持ち金で当初買おうとしてた馬車が買えなくなり、一回り小さい馬車を買わないといけなくなったらしい。もう少ししたら新しい馬車を買うとも最後に言ってたな。

 因みに、行商の人達だけでなくノイド達も道具袋を持っている。ノイドの話しによるとギルドに入りランクを上げたら道具袋は貰えるし、俺が生み出した空間魔法も今の世の中ではメジャーな魔法の一つらしい。

 俺が残した物が後世にしっかりと普及し皆の暮らしに役に立っていると聞いて、何と言うか言葉では表せない嬉しい様な恥ずかしい様な気持ちになったな。

 

 昼食も終わり、朝言っていた氷魔法を見せて貰う為にセリスの所に向かおうとしたらハインに声を掛けられた。


「アレス君。話があるから少しだけ僕に時間をくれないか?」


「? ええ、良いですけど…」


「ありがとう。それじゃあすまないけど、ナナシの所まで一緒に着いてきてくれ。見張りの交代の時間だから、早く行かないとナナシに怒られてしまうからね」


 話とは一体何だろうか? だが、そんなに時間は取られないと思う。

 今セリスは自分の食器を洗ってるしそれが終わるまでには多分話は終わるだろう。

 そして、ハインと共にナナシの所へ向かった。


「おせーぞハイン。こっちは腹が空いて死にそうなんだよ。お、坊主もいるじゃねーか」


 他の皆より、一際体の大きい禿頭の剣士が野太い声で話しかけてきた。


「すまない、ナナシ」 「お疲れ様です。ナナシさん」


「坊主は一体どうしてここに? まぁ、いいや。俺は飯食いに行ってくるぞ。後は任せた、ハイン」


 そう言い残し、ナナシは飯を食いに皆の所へ向かって行った。

 余談だが、ナナシは体が大きい為他の人より飯を多く食べる。

 ナナシが皆の所へ行ったのを見送った後、ハインが俺の方に体を向けてきた。

 真剣な表情で俺の方を見てくる。

 そして……


「アレス君、ありがとう」


 ハインが俺に頭を下げて感謝してきた。

 

「えっ??」

  

 いきなりの事で理解ができなかった。


「君のおかげで、セリス様が凄く元気になって笑顔まで浮かべる様になった。その事をこの旅が終わるまでにどうしてもアレス君には面と向かって感謝したくてね。一週間前・・・・君にセリス様の事をお願いして本当に良かったと思っている」


 あ、成程一週間前・・・・のあの事か。

 セリスの事をハインに聞きに行った時、最後にハインが俺にお願いしたいことがあると言ってきたやつか。


『どうかセリス様とできるだけ仲良くして上げて欲しい』


 と言ってきたんだったな。


「僕達だけだったらセリス様は、今も窮屈な思いをしていた筈だ。だけど君のおかげでセリス様に取ってこの旅はとても良い旅になったよ。ありがとう、本当にありがとう……

僕の話はこれで終わりだよ。こんな事に時間を取らせてごめんね。それでもどうしてもお礼が言いたくてね」


「いえ、僕のほうこそセリスのお蔭でこの一週間とても楽しい旅になりました。僕の方がセリスにお礼を言いたい程ですよ。あ、そろそろ僕セリスの所に戻りますね。ハインさん見張り頑張ってください」


「それじゃあ、また後でねアレス君」


 ハインは笑顔で俺にそう言って、槍を構えながら見張りをしだした。ここからは仕事の時間という訳か。

 それにしても驚いた。ハインにいきなり礼を言われるなんて。

 ハインはもしかして、セリスの家臣か何かなのだろうか。セリスに対して他の人より敬意を払ってるしな。

 …考えても分かることじゃないし、どうでもいいか。

 

 皆の所に帰ったら、セリスが辺りをキョロキョロしていた。

 そして、俺を見つけて笑顔で駆け寄ってきた。


「アレス、何処行ってたの? せっかく氷魔法を見せてあげようと思ったのアレスがにいないから探したわ」


「ごめん、ごめん。ハインさんと少し話をしててね。それじゃあ、さっそく見せてよ」


「ええ、分かったわ。それじゃあ、あの湖の所まで行きましょ。そこで披露するわ」


 どちらからともなく自然と二人で湖に駆けていった。

 

「アレスはそこにいてね」


 湖の傍に着いたらセリスが笑顔で言ってかきた。

 セリスはそう言ってから一人で湖の波打ち際に行き波打ち際に着いたら俺に一礼してきた。


「それでは、セリス・イスベリアの水と氷の演舞を披露します。最後まで見てくれると嬉しいです」


 そう前置きしてセリスは一回深呼吸をした。その直後セリスの体から魔力が出て辺り一面に粉雪が生まれた。

 次に湖の水で氷の鳥と水の花を作り、粉雪の中セリスは舞を踊り出した。

 自身の美しい青髪を粉雪の中で靡かせ舞を踊る。氷で作った鳥達も羽ばたくような動作を見せ、水の花々は蕾から開花する。

 本当に幻想的な光景だった。

 今、セリスが実は人間では無く水の精霊だと言われてもあっさりと信じてしまうだろう。それくらい、セリスの舞は素晴らしいものだった。

 時間にして約三分くらい舞は続いた。舞が終わり、辺りから粉雪が無くなり氷の鳥と水の花が湖の水に戻りセリスが最後に一礼して舞は終わった。


 思わず拍手をしたら俺の後ろからほぼ同時に他の皆も拍手を始めた。

 そう、途中から他の皆も俺達の所に来たのだ。

 セリスは自身の舞に集中していたのか、どうやら今他の皆がいる事に気が付き少し困惑している。

 そんなセリスの所に行き


「本当に凄い舞だったよセリス!! セリスが実は水の精霊って言われても信じてしまう程だよ。本当こんな一生に一度お目にかかるかどうかの凄い舞を見せてくれてありがとう」


「どういたしましてアレス。でも水の精霊も一生に一度もお目にかかるも言い過ぎよ」


 少し照れながら、だけど嬉しそうにセリスはそう言った。

 

「いや、セリス様今のは坊主の言うとうり謙遜無しに本当に素晴らしかったぜ」


 坊主頭の剣士のナナシが拍手をしながら俺達の所まできた。

 そのまま、俺達に向けて話しだした。


「坊主もこんな素晴らしい舞を見せてくれたセリス様に何か礼をしないといけないよな。セリス様は自身の魔法で舞を披露したから、そうだな坊主はその身に着けている剣で今日の夕方俺と剣士同士の決闘を見せてやりな。うん、それが良い。良し決定だ」


 そう言って、ハッハッハッと豪快に笑い出した。


「わぁ…… ナナシさんそれ凄く良いですね。アレス、今日の夕方凄く楽しみにしとくわ」


 決闘を受けると言ってないが、こうして俺の意思は関係なく決闘する事が決まってしまった。

 だけど、セリスに笑顔でそう言われてしまったし仕方ないか。うん、仕方ない。

 

 だけど一つ心配事ができた。


 ………手加減上手くできるかな




 

次の話は一週間以内に投稿するよう心掛けますが、心掛けるだけなので投稿できなくても悪しからず

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