馬車に世話になります
前話を改変したのでおかしいと感じる部分があると思いますので、出来たら前話を見てやって下さい
さて、助けると決めたがどうするか…
ゴブリン全てを倒すのは簡単なことなのだが
もしかしたらあの人達に猜疑心を持たれるかもしれない。
前世の時に、魔物に襲われていた似たような状況の村々を助けたことがあったが、その度に村人の中の三〜四人くらいに疑いの目を向けられたことがあった。
どうやら俺が強すぎて魔物か化物の類じゃないのかと思ったらしく、怯えていたのを覚えている。
人間は、自分の想像もしたことの無い用な強い人物が目の前に現れると恐怖するのだとその時学んだ。
ーーゴブリン程度なら、蹂躙してもそんな事ないと思うが念の為自重するか。
とりあえず、ゴブリンロードを倒してみるとしよう。
今、指揮を取っているゴブリンロードを倒したら間違い無くゴブリン達は混乱する筈だ。
剣を抜き、丘の上から戦場である草原に向かう。
気配を完全に消しながらゴブリン達に近づく。
俺が背後にいるのに気づかないゴブリン達は前方の人間達を襲うのに夢中だ。
ゴブリンロードもゴブリンと同じく無防備な背を俺に向けている。
既に剣の間合いに入っているので、ゴブリンロードを剣で一閃する。
「お前より強い俺からのアドバイスだ。背後にはもっと気を配れ。来世でこの経験が役に立つと良いな」
ゴブリンロードは、俺の一閃を受けて頭と胴体に分かれたことに気づくことなく死んだ。
首から上だけになったゴブリンロードの表情は死に対する恐怖ではなく、襲っている人間達に勝利すると確信した、気味が悪い笑みを浮かべていた。
「授業料は高いぞ。なんせ魔王を倒した勇者からのアドバイスだからな」
ゴブリンロードが死んでから、すぐにゴブリン達に変化が起きた。指示を仰ごうとゴブリン達がゴブリンロードの方を見たらいつの間にか死んでいたからだ。
すぐにゴブリン全体に動揺が走り先程までの無駄の無い動きから隙だらけの雑な動きになった。
その隙を見逃さず、手練れの人間達がこの戦いで初めての攻めに出て一気に形勢を覆した。
パニックに陥った一匹のゴブリンが森の方に逃げ出したのを見て、残りのゴブリン達も続くように森に逃げ出した。
そして草原には、助かったことを喜ぶ人間達と俺だけが残った。
やっと俺に気づいたらしく、あの中では手練れの魔法使いの男がこっちに近寄り声を掛けてきた。
年は見た感じ30歳くらいだろう。
俺が剣を持っているのを見て少し警戒しているのも見て取れた。
「………もしかして、君がゴブリンに何かして俺達を助けてくれたのか?」
剣をしまいながらその質問に返答した。
「丘の向こう側にいたのですが、何やら騒がしいと思い様子を見に来たらあなた達が襲われていたので助けようと思い来ました。近くの大きいゴブリンを不意打ちで倒したのですが、そしたらゴブリン達がパニックになっていきなり逃げ出したんです」
男に分かるようにゴブリンロードの死体を指差す。
男は、ゴブリンロードの死体を見てやっと納得いったような表情になった。
「こいつは、ゴブリンロードじゃないか……成る程道理で普段とは全く違う動きをするし、ゴブリンの数が多いと思っていたらこいつが原因だったのか。君がこいつを倒してくれなかったら俺達は死んでいただろう…ありがとう。自己紹介がまだだったな。俺はノイド、ギルドに所属している。ランクはDランクだ」
どうやら警戒を解いてくれたらしい。
俺も挨拶しないとな。
「初めまして、ノイドさん。僕はアレスって言います」
「よろしくなアレス。所でアレスは何でこんな所にいるんだ?ここら辺は村も何もないだろう」
やはりこの質問をしてきたか。大体予想はしていたがな。
「僕は、神聖国レブームに向って旅をしている最中なんです。レブームは世界最大の都市と聞きますし、ギルドや魔法学校もあると聞いて一回見てみたいなと思ったんです」
ノイドは旅をしてる俺に興味を持ったのか更に質問を続けて来た。
「見た所、若そうだけど年は幾つ何だ?」
「はい、つい先日10歳になったばかりです」
それを聞いてノイドは、感心半分驚き半分で話しを続けてきた。
「10歳だと? まだ子供じゃないか‼ 君が言ってくれたから言うが…実は俺たちもレブームに向っているのだよ。レブームはここから馬車でも一週間はかかるぞ。徒歩だと君の体型からだと一ヶ月近くはかかるだろうし、道中は魔物がいて危険なのに良く両親が旅を許してくれたね」
ーーー走って一時間、歩いても一週間ですよ
「いえ、両親は既にいないので旅は自分の意思で出ました。名も無いような小さな村に住んでいたのですが、旅に出る際に村の人達に旅に必要な物を色々頂いたのでここまで無事にこれました。魔物の方も運良く出会わなかったんです」
ノイドは両親が死んだと聞き、すまないと謝罪し、馬車に余裕があるから出来たら自分達と共にレブームに行かないかと聞いてきた。
「本当ですか‼ 実は、僕も一人旅で不安な所があったんです。皆さんと一緒にレブームに行けると心強いです」
全くの嘘であるが、ノイドは気づかず俺を連れて馬車の所まで戻って行った。
馬車のみんなには、ノイドが事情を説明してくれて俺は暖かく迎えられた。
助けると決めたので、回復魔法を少し使えると言い、怪我をした人達を魔法使いであるノイドと一緒に回復魔法を使い治療していった。
この年で、回復魔法を使えて凄いと褒められて少し嬉しかったのは秘密だ。
馬車と馬をノイドの仲間二人とノイドが全力で守っていたらしくそちらは無事だったらしい。
今日は、もう休み明日出発するとの事。
そして俺が一番気になっていた氷魔法を使った少女だが、最初から乗っていたのか、途中から乗ったのかみんな知らないらしい。
ノイド達だけは、この少女を知ってるらしく明日話すと言って少女の話しはこれで終わった。
少女はまだ気絶しており一目だけ間近で見たが青髪でそれなりに顔が整った綺麗な少女だ。
年齢は俺と同じ10歳くらいだとも分かった。
五年もすれば間違い無く美しくなると確信できる顔立ちだった。
少女については、明日聞けば良いだろう。
ノイド達は、また襲われないように警戒し見張りを交代でするらしいが俺がいるから魔物は来ない。
俺は、寝る時にいつも結界を作り寝ている。 この結界を破るには魔王の四天王クラスで、無いと破れない。
ここらの雑魚では、一生かかっても結界は破れないだろう。
既に簡単な結界を四方一キロに作ったし結界内には、魔物がいないのは確認済みだ。
だから見張りはするだけ無駄なのだが言うのはやめておく。
俺が力がある事は出来るだけ隠す方針だ。
前世みたいに俺の力を利用する為に近寄られても迷惑だからな。
それにしても、ノイド達は見張りを仲間と交代しながらするのか……羨ましいな。
前世の時は、あの三人はそんなの全部俺一人に任せていたぞ。
……そろそろ、俺も寝るか
諸事情により一週間くらい更新出来ないと思います