かごめ かごめ
『籠女 籠女』
ある一人の女がいた。その女の腹の中には、小さな赤ん坊がいた。女は嬉しくて、嬉しくて堪らなかった。
だから、『この子は私の可愛い子。この子は私の宝物。この子は私の愛しい子・・・』
そう言っていた。呪文を唱えるように、そっと。
『籠の中の鳥は』
赤ん坊は時が経つにつれて、少しずつ大きくなっていった。女はその成長を喜び、また、呪文のように言い出した。
『この子は私の可愛い子。この子は私の宝物。この子は私の愛しい子・・・』
『いつ いつ 出やう』
赤ん坊はもっと大きくなっていった。女の顔には一筋の涙が頬を伝う。
『私の愛しい子が、もうすぐ産まれる。私の宝物が、もう少しで・・・』
『夜明けの晩に』
赤ん坊は夜明けに産まれた。女はぐったりとしていたが、赤ん坊の顔を見ようと、疲れきった身体を起こし、赤ん坊の側へ――――そして、赤ん坊の顔を覗きこんだ。
けど、赤ん坊はこの世界にはいなかった・・・・。
『鶴と亀が滑った』
女の頬を涙が伝う。それは、喜びでも、嬉しさでもない。悲しみのもの。
鶴と亀・・・
幸せの象徴である。
女は泣き叫んだ。声が枯れるくらい泣き続けた。
『この子はいらない。私の子じゃない・・・』
そういいながら、土の奥深くに赤ん坊を埋めた。
冷たい空気が肌に染み込んできた。
『後ろの正面 だぁーれ?』
何年か経ち、赤ん坊は土の中で腐っていった。今はもう、肉体などどこにもない。
あるものは、赤ん坊の遺骨だけ・・・・。
女は山へと出かけていた。木の実を取りに、山の奥へと進んでいく。
ふと足を止める。誰かが後ろにいる。そんな感じがしてしかたなかった。
家を出てから、ずっとそんな感じがしていた。
女はそっと後ろを振り向いた。
後ろには、あの赤ん坊が女を見ていた。
嘲笑いながら、憎しみの念を込めて・・・・。




