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第3回『あそぶ』会議

 受験勉強による自由時間の減少が相次ぐなか、丘之上高校『あそぶ』は自らの自由時間を開拓する為、今日も放課後に集まって『あそぶ』会議を開くのであった…



◇◆◇◆◇◆◇◆



「ではこれより『あそぶ』会議を始めるよっ!!」


「異議ありっ!!」


「何でしょう、『顔が前か後かどっちについているか分からない』くんっ」


「人間の顔はたいてい前についていて、俺は人間だから、三段論法により俺の顔は前についている!!証明終わりだ!!」


「ダウトよっ」


「何だとっ!!」


「『前後は人間である』という命題が偽だわ」


「つまり俺は……、神なのか!?」


「神の側近の部下の弟の妻のいとこの子供に馬鹿にされた悪魔という説が有力だわ」


「そうか、俺も遂に神の手下にまで嘲笑われる悪魔にまで堕ちてしまうとは……」


「……厨二臭い話はいいんで、サッサと会議始めません?」


「あら、『厨二』を遠ざけるのは良くないわよ」


「平凡な毎日にちょっとしたスパイスを――それが『厨二』だ」


「全く意味が分かりません、脳外科にでも行ったらどうですか」


「脳外科には行った事あるぞ」


「行ったことあったんですか……で、どういう診断を?」


「ああ…、行ったらな、精神科に行けって言われたんだ。で、精神科に行ったら少年院に行けって言われて、少年院に行ったら帰れって言われてたんだ」


「これが噂のたらい回しね」


「単に正常だと判断されただけですよね!!」


「精神科でのテストをワザと間違えたのが悪かったな…」


「どういうテストなの?」


「ああ、スライドで動物の絵を見せられるんだ、それで答えさせられる」


「要するに当時、幼稚園児レベルの知能も無かったわけね」


「だからワザと間違えたってんだろ!!」


「あら、それは言い訳じゃなくって?」


「今更言い訳する必要がドコにある!?」


「なら、この部室にはどんな動物が何匹いるのかしら?」


「ぁあ?人間2人に『舌』1枚だろ?」


「正解よ」


「全然正解じゃないです!!『舌』1枚ってなんですか!?私は『舌』ほどの存在価値しか無いんですか!?」


「『舌』が不服か?なら『長い舌』に格上げしてやろうか?」


「長くなっても同じです!!」


「なら自分から舌が無くなっても良いというのか?食べ物を味わえ、言葉を発するのに重要な存在である舌が無くなっても良いというのか?」


「それはないですが…」


「自分のアイデンティティーである舌が無くなっても良いというのかぁああああ!!」


「アイデンティティーじゃありません!!どんだけ地味なアイデンティティーなんですか!?外から見えないじゃないですか!!」


「じゃあ……、出せば良いのよ!!」


「すごいことを閃いたかのように言わないで下さい!!ただの変質者じゃないですか!!」


「人はそれをアヘ顔と言うんだぜ!!」


「言いません!!誰が得するんですか!!」


「俺得?」


「嫌ですよ!!」


「2000円でどうだ?」


「何円積まれてもしませんから!!」


「というか……、舌子って女だったのね」


「私の事なんだと思ってたんですか!!」


「舌?」


「……もう良いです、早く昨日の続きをしましょう!!」


「昨日は何を話したっけか」


「養子縁組の話じゃなかったかしら」


「喋ってはいましたが、議題では全く無かったです!!」


「臓器を売るのが犯罪だとか言っていた気がするぞ」


「……ワザと間違えてません?覚えてますよね、絶対」


「だって…、天然バカって言われたから」


「それなら全力で天然バカになりきってやろうと思ったのだ!!」


「たちが悪いですね!!どんだけ面倒くさいんですか先輩達は!!」


「『こんだけ』かな」


「『あんだけ』ってのもあるぞ」


「ありません!!具体的に言ってください!!」


「『少年よ、大志を抱け!!』ってのはどうかしら」


「『だけ』が付いていたら良いって問題じゃありませんよ!!」


「じゃあ『ボーイズ・ビー・アンビシャス』は?」


「英語で言っても同じですから!!もはや説明になってませんから!!」


「もう『腰砕け』で良くない?」


「上手い!!」


「上手くないですから!!面倒くさくなっただけでしょうが!!まぁいち早く会議を始めたい私にとっては好都合ですが……」


「じゃあ良いじゃないの。で、何を話してたっけ?」


「『トランプ野球』についてです!!」


「え?何それ美味しいの?」


「そんな小学生でも考えないような遊びがこの世にあったのね」


「先輩達が言っていたんでしょうが!!」


「あぁ、そんな時代もあったな」


「昨日の事を遙か昔みたいに言わないで下さい!!」


「舌長子がそう思ってるだけで、世界では30年も経ってるかもしれないわよ」


「だから舌は長くありません!!それと勝手に厨二設定するの止めて下さい!!」


「舌のタタキは気付いていないだけなんだよ!!」


「なんでタタキにしたんですか!!」


「なんとなく?」


「そうなんじゃないかと思いましたよ!!」


「で、『トランプ野球』についての事なんだけどね……」


 と、その時。


(キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン

キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン)


 予鈴が鳴った。


「……明日にしよか」


「……だな」


「……どこまで引っ張るんですかこの話題」


 本日の成果。

・二は女であった事を再確認できた


以上、第4回に続く。

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