悲しい恋の最後の日
もう二度と会うことは、ないだろう、そう思いながら、修一と美佐子は、会っていた。なぜなら、修一は、既婚者だったからだ。これが、最後の日になるとしても、2人は、会いたかったのだ。
そして、美佐子も、もうすぐ、結婚するのだ。別れを惜しむかのように、ふたりは、アイスコーヒーを飲んでいた。
2人の出会いは、カフェのウエートレスを、していた美佐子に、たまたま、カフェにきた修一が、声をかけたことから、始まったのだ。連絡先を、聞かれ、美佐子は、教えた。美佐子は、魅力的な修一に、一目で、恋に落ちたのだ。お客さんは、いろんな人が来るけれど、修一の様な、タイプは、初めてだった。
後日、修一から、連絡がきて、晩ご飯を一緒に、食べることになった。美佐子が、前から、行きたかったフレンチのお店だった。とても、美味しいお店だと、噂で、聞いていたのだ。とても、雰囲気のいいお店だった。美佐子は、とても嬉しかった。2人で、向かいあって座り、注文した。食事がくるまで、お互いのことを、話した。
修一は、結婚していることを、美佐子には、話さなかった。美佐子は、修一が、もちろん、独身だから、声をかけてくれた、と、思っていた。
2人は、食事を終えて、美佐子のマンションに向かった。2人で、飲もう、ということになったのだ。美佐子は、簡単なツマミを作った。
ワインを、あけて、飲み始めた。2人共、飲むのが好きだった。打ち解けて、いろいろ、話した。
時間も遅くなり、修一は、帰って行った。
週末の仕事が休みのときは、修一は、日中、美佐子のところに、くるようになっていた。2人共、会える喜びが、大きかった。美佐子は、修一に、手料理をふるまった。修一も、何かと、美佐子に、プレゼントを買ってきた。
とても、楽しい日々が続いていた。週末が、2人共、待ち遠しかった。美佐子は、なんの疑いも、持たずに、修一と、付き合っていた。修一も、美佐子に、既婚者であることを、悟られない様に、必死に、隠していた。
ある時、カフェのマスターが、買い物に行って、修一家族を見かけたのだ。マスターは、修一が、既婚者だったことを知った。
カフェに出勤した、美佐子に、「美佐子ちゃん、こないだのお客さんと、付き合ってるの?」と聞いた。美佐子は、うれしそうに、「はい、付き合ってます。」と、答えた。マスターは、困った顔をして、「こないだ、買い物に行ったら、あの人と奥さんと子どもと、買い物してたよ。」と言った。美佐子は、ショックをうけて、その場に立っていられなくなった。マスターは、「大丈夫?」と、声をかけた。美佐子は、泣き始めた。「信じたくないけど、そうなのですね。」美佐子は、あきらめの口調で、言った。
美佐子は、しばらく、修一の連絡に、出なかった。修一は、どうしたのかと、思っていた。美佐子のマンションにきて、インターホンを鳴らしても、返事はなかった。
美佐子は、その時にはもう、修一のことを、とても好きになりすぎていた。思い切って、修一と、話さなければ、と、思っていた。修一から、電話がきたので、電話に出た。美佐子は、修一に、聞いた。「ある人から、聞いたけど、修一さんは、既婚者だったのですね?」修一は、動揺した。「隠すつもりはなかったんだ。妻とはうまくいってない。君のことが好きだ。」と、言った。美佐子は、言った。「私は、既婚者の人とは、付き合えません。」そう、言うのが、ようやっとだった。好きな気持ちを押し隠して、頑張って言った。
その頃、マスターは、2人の恋のゆくえが、とても気になっていた。なぜなら、マスターも、美佐子の事が、好きだったのだ。マスターは、美佐子が、不幸にだけは、ならないでほしいと、思っていた。
次の日、カフェに、出勤した美佐子に、マスターは、「大丈夫?」と、声をかけた。美佐子は、マスターに、「私、彼とは、別れることにしました。」と言った。マスターは、「ほんとに?それなら、俺と結婚してよ。」冗談のような、本気の様な口調で、言った。美佐子は、「またまた〜笑」と、本気にしなかった。マスターは、「俺、本気だから。」と言って、美佐子を、抱きしめた。美佐子は、ビックリしたが、とても嬉しかった。気持ちは、まだ、修一にあるのだが、早く、修一を忘れなければ、と、思っていたから。
修一から、電話がきた。「最後に、なってもいいから、もう1度だけ会えないかな?」美佐子は、少し考えた。自分も、もう1度だけ会って、本当に、最後にしたかったし、修一への、未練を、断ち切りたかった。
美佐子は、それから、結婚のことは、考えようと思っていた。
そして、美佐子は、会う場所を、自分の勤めている、カフェにした。
当日、修一は、カフェにやってきた。美佐子と、隣合せで、カウンターに、座った。2人共、アイスコーヒーを頼んだ。マスターが、作って、持ってきてくれた。
修一は、おもむろに、「もう、俺たち、おわりなんだよね?」美佐子は、コクリとうなずいた。美佐子は、言った。「今まで、ありがとう。」それ以上は、言えなかった。美佐子は、涙を必死に、こらえていた。
マスターが、それを、一部始終、見ていた。




