旅は続く
「ありがとうございました! 助かりましたわ。帰路もどうぞお気をつけあそばせ」
「ああ、嬢ちゃんもな! こっちこそありがとよ」
ローゼリンデと船長が笑顔で握手を交わす。
クラーケン被害のなくなったドンサール海を丸一日かけて渡り、到着したのはサナリャの港。
ここはもう、ノーランド王国ではない。
隣国タイファス王国の玄関口にあたる港町だ。
内海をひとつ隔てただけなのに、祖国とはまったく景観がちがう。
ローゼリンデが港に降り立ち船長と別れの挨拶をしている間に、地面が揺れたと思ったら遠くでドーン!と何かが爆発するような音がした。
驚いて音のした方角を向いたローゼリンデの視界に、噴煙を上げる火山が見える。
そう、ここタイファス王国は火山の国だ。
ドンサール海の水が、ローゼリンデの暮らしていた王城よりも北方に位置しているにもかかわらず温かかく泳ぎやすかったのは、この火山活動による地熱のおかげだった。
隣に立つマーブルも火山を見つめている。
地震や噴火を怖がるのではないかと秘かに心配していたローゼリンデだったが、マーブルにそんな素振りはない。
勇者パーティーから遅れること三日。
ここからまた、勇者の忘れ物を届けるための旅がはじまる。
マーブルに跨ったローゼリンデは、爽やかな笑顔で船長に手を振った。
(第1部・完)
これにてローゼリンデの旅の第1部が終了しました!
ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます
次回から火の国に舞台を移して、さらに物語は続いていくのですが……
下書きストックがなくなってしまったので、ここからの更新はゆっくりになると思います
更新に気づいたら引き続き読んでいただければと思います
どうぞよろしくお願いいたします!




