ターランドへ
眠っていた、カリナフ嬢とサライテが目を覚ました。
急いで、身支度をし。急いで馬車を走らせたのだが。
渋滞に巻き込まれた。
「カリナフ様、起きて下さい。カリナフ様」
サライテが、キングスサイズのベッドで、四つん這いになりながら、カリナフ嬢を起こしにかかっている。
「どうしたのです、サライテ。バイオリンは、次に……」
カリナフ嬢は、思い出したかのように、『パチ』ッと目を覚まし。
勢いよく、起き上がると。
Lカップの胸に、顔を埋めた。
「いや~ん」
「いつもの冗談をしている場合ですか。使徒様は、何方に」
「分かりません。脳筋が言うには、ターランドへ向かわれたようです」
サライテは、右手でメガネの位置を直し。通常運転に戻した。
「時間もございませんので、薄い青と濃いピンクを用意しております」
キングスサイズのベッドの足元に、2着のドレスが用意されていた。
「2択ですか。薄い青でお願いします。病み上がりですから」
カリナフ嬢は、新しいドロワーズを履かされながら、青のドレスを選択した。
「では、青のリボンのツインテールでよろしいですか」
カリナフ嬢の髪をブラシで梳きながら。リボンを咥えている。
「どれほどの、差が開いたのでしょうか。うちの馬車で追い付けると良いのですが」
「大司教様の6頭引きを出されると、敵わないと聞いております。うちの馬車も、引き留めていて、正解でした」
「流石に、6頭引きには劣りますね。ですが、違うと思いたいです。どちらにしても、時間が御座いませんね。荷造りは、どうなってますか」
「少ししか荷解きしておりませんので、持てるだけお持ちして、残りは送ってもらいましょう」
「分かりました、そのようにいたしましょう。だけど、私も、使徒様のように、引き気味にサライテを見ていたのですね。今もそうですが」
「私の前だと、大人びた子供は、皆同じ顔をしますよ。何故でしょうか」
「怖いからに決まっているでしょ。丸いレンズの奥の奥で、何を妄想しているの」
「そんな事は、決して……」
「違うと、言い切れるのですか。無駄に大きな胸に、手を当てて誓いなさい。使徒様に間違った事をしませんと」
「宜しいではないですか。頭で妄想するくらい」
「宜しく無いです。今も、かなり怪しいだすよ」
「気の所為です。急ぎますよ」
カリナフ嬢の靴を履かせて、支度を終えた。
カリナフ嬢の脱ぎたてドラワーズが、サライテのポケットに収まっている。
『これは違います。貴族の下着を、誰かに触れさせてはなりません。私が、処理します』
扉を開けると、カパードが、20ケースのトランクを運び終えていた。
サライテが、部屋を出る時に。
「急ぎの用ができましたので、急いでここを離れないといけません。お手数ですが、調度品の数々は、ターランド辺境伯へ、届けて頂けますか」
あの顔と体に、NOを突き付けられる、僧は少ない。困った顔をしていると。
サライテは、僧が答える前に。
「有難うございます。では、よろしくお願いしますね。頼みましたよ」
両手を下腹部の位置で合わせると。大きな胸が、自然と寄った。更に、頭を下げて、少し前傾になると。相手の目は、胸から離れることはない。
少し間を置いて、頭を上げる。
相手は、慌てて顔を見ようとする。
頭を上げ終わると、右に少し傾けて、微笑む。
「それでは、よろしくお願いします」
クルッと周り。
「カリナフ様、お待ちになって下さい」
スタコラ、サッサッサッのさ。
最後に、サライテが馬車に乗り込み。
カパードが、踏み台を片付けて。急いで、御者の席に座った。
カリナフ嬢の馬車は、珍しく、8点のバネで吊るされている。
簡単に説明をすると、低い荷馬車に、4本の柱を立てて。4本の柱の上部から、8本のバネを垂らし。
垂らした8本のバネに、小部屋を吊るした。
それだと、揺れすぎるので。
下からも、4本のバネで、引っ張った。
揺れは、飛躍的に軽減されたが、室内は狭くなった。
そして、城門の渋滞に捕まった。
「急いでいるのに、何事ですか」
「カパード、どうにかなさい。このままだと、使徒様と差が広がってしまいます」
カパードは、車輪にロックをかけて。
馬をなだめた。
「すぐに戻るから、大人しくしていて」
少し、助走をつけて、荷馬車から馬車の屋根へ。そこからは、馬車の屋根伝いに、飛び越え。
あっという間に、先頭にたどり着いた。
カパードを止める側の衛兵は、全て眠らされている。
「カリナフ様の命です。許して下さい」
カパードは、門の丸太に2連撃を放った。
2本の丸太は、真ん中で砕け散り。閂は、外れたかのように見えたが。
カパードが、扉を押しても開かなかった。
次は、扉を破壊しようとした時に。
「押してはいけません。引いて下さい」
次に、カパードが扉の片方を引くと。
『ギッギッギッ、ガタン』
大扉の蝶番の上が外れている。
だが、人々は流れ始めた。
せき止めた水が、決壊したかのように、止まらない。
私は、それに、便乗して人混みに紛れた。
なるべく、人々の歩幅を合わせるように、速く歩いた。
カパードは、急いで馬車に戻り。車輪のロックを外した。
しばらく待つと、前の馬車が歩き出し。カリナフの馬車も、前の馬車に続いた。
カリナフ嬢とサライテは、左右の窓から使徒様を探す。目を皿のようにして、白い肌の子供を探した。
私は、道の端の端をゆっくりと歩き。体力の無さを感じていると。
突然、ムチが体を襲った。
「うわぁ~」
ムチは、私の胴に絡みつき。カパードが、ムチを引っ張り上げ。そのまま、馬車の屋根に私を乗せた。
カパードが、手首をくるっと回すと、ムチが解けた。
私は、揺れる馬車の上で、屋根の突起物に必死で捕まった。
私が、解放されたのは、人々の影がなくなった林道でだ。
サライテとカリナフ嬢が、お花を摘みに、林に入って消えてからだ。
カパードも、車輪にロックをかけて、馬車が見える位置で、用を足した。
私は、屋根で、2度漏らしている。
私は、屋根を支える柱に移り、ゆっくりと下へ降りた。
柱から、フレームへ。フレームから、地面へ。
お尻を丸出しにして。最後は、足が少し届かずに、コケた。
「アイタタ」
カリナフ嬢とサライテは、交互にお花を摘み。
お互いが、お互いを見張った。
林から、2人が同時に出てきた。
「使徒様、ご無事でしたか」
「何処に、おられたのですか」
私は、今までの経緯を話す羽目になった。
「この馬鹿、脳筋。使徒様が、馬車から落ちたら、どうするつもりだった」
「カパードの主人として申し訳ありません。あの馬鹿を、どう処分いたしますか」
バネの馬車は大きく傾いている。
2人が、前方に座り。私1人で少しの荷物と席を分けていた。
部屋は、前に傾き。後ろが浮いている。
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