イーガージ・ターランド伯爵
聖女の嗜みとして、無駄毛を処理して。聖女様と仲直りをした。
ターランドの護衛と共に、ターランドの街へ向かい。
お忍び旅とは、言い辛いものとなった。
私は、聖女様へ感謝して。謝罪の意を込めた。
毎日、一緒にお風呂を入り。同じベットで眠っている。
それが急に無くなり、空虚感を覚え。1人が寂しくなった。
聖女様に、支えられて。3食やオヤツ、お風呂や就寝時間の時間を知り。人として、周りに迷惑をかけない人になっている。
いつものように、キスをして。
聖女様の体に、カミソリの刃を当てる。
丁寧に、傷付けないように、ゆっくりと剃り上げて、最後は毛穴を広げるように、確認して。作業を終えた。
私も、毛が生えるようになったら、聖女様が剃るのかは不明だが。不安しか無い。
毎日、同じ日常を過ごして、変わらない日々が、大事なことを教えてくれた。
私は、聖女様を失ったら。人肌の温もりを得ることはないだろう。
間違いは許されないのだから。
私は、カリナフ嬢を聖女として選んだ事を、認めるようになった。
まだ、先の話だが。聖女として、私の子を孕んでほしいと願うようにもなっている。
私達は、そのまま南下して、ターランドの町を目指している。
私は、ターランドの馬車へ乗り。
ユニコーンの戦車は、カパードに任せた。
レッドは、カパードの後ろを歩き、大人しくしている。
サライテが、後ろ向きに座り。聖女様と私で、並んで座った。
ターランドの護衛が付き、お忍び気分では、なくなった。
ダガルプ神殿から、早馬が出て。捜索隊が結成されたと聞いた。
ターランドの教会へは、伝わっている頃だろう。
「どうされますか、使徒様」
「どうもこうも無いですよ。疫病も発生してませんし、戦争も、地方で小競り合いしか、していないと聞き及んでいます。すぐ帰れば、ダラーザラー14世は、許してくださいますよ」
「そうです。たまに、外出して、外を見るべきです。クラージツ平野内だけで、動きますから。大目に見るべきです」
「そうではありません。聖女様も、私と同じように、外出は控えるべきです。危険や刺激が多すぎます」
「昨日から、随分ダラーザラー14世の肩を持ちますかね。使徒様は」
「勿論です。私の后候補なのですから、危険な真似をされては困ります」
「候補は、いつになったら、取れるのですか。わたくし以外に、聖女を作るつもりですか」
サライテが、手を挙げた。
「私なら、側室として立派にやり遂げる自信があります」
「辞退してください。側室などは取りません。いりませんから」
「だったら、后で宜しいでは有りませんか。私の運命を、二度と狂わせたのです。責任をお取りください。ね。使徒様」
「断言はしません。認めると、大変なことになります」
「お母様は、問題ね。クラージツ平野を上げて、お祝いをしそうだわ」
「マルーリ様は、お孫さんを、要求されると思います。最低でも、10人は、欲しいと言いかねません」
「私頑張って、20人は、産みますね。使徒様」
「待ってください。飛躍しすぎです。これだから、確定させたくないのです」
「フフフフ、そうなると、子供たちの世話で、使徒様のお世話が出来なくなります」
他愛のない会話をしながら、数日かけてターランドの街へ入った。
「ユニコーンだぞ、初めて見た」
「レッドが、放し飼いされてる」
「何で、ターランド伯爵の馬車に追随しているんだ」
「使徒様が、いらっしゃっぞ。聖女様と一緒のようだ」
教会の方々は、ターランド伯爵家に、ユニコーンの戦車が入った行く所を確認した。
許しの世話係で、数人が揉めて。レッドの飼育係は、押し付けあっている。
私達は、早めに事を済ませて、ダガルプ神殿へ戻ろうとしていたが。
レッドを、野生へ返す事を話し合った。
『婚姻の儀』が行われた、遺跡の森には主のような存在が必要だろう。
少し計画はそれるが、森の生態系を守るためでもある。
私達は、レッドを野生へ返す計画をした。
カパードには、了解を取っていた。
そんな話をしていると、家の主であるイーガージターランド伯爵が、玄関ホールに現れて。娘と私を迎えてくれた。
「長旅、お疲れ様でした。使徒様、聖女様」
ターランド伯爵は、膝を付き。天使のネックレスを握り、両手を組んだ。
「お父様、立ってください。娘に、膝を付くのは、辞めてください」
聖女様は、顔を覆っているスカーフを外して、素顔を六年ぶりに見せた。
私も、スカーフを外し。カツラを脱いだ。
「ご無沙汰してます。イーガージ・ターランド伯爵様」
「違っていますは、使徒様。お義父様です。ユメユメお忘れにならないように、お願い致します」
「そこは、何度も話しているだろ。成人してから、発表するって」
「私の体をこんなにももて遊んで、責任は取ってもらいますよ」
聖女様も、カツラを外した。
「カリナフ、いや。聖女様、本当か」
「イーガージ・ターランド伯爵様。聖女様ですので、お言葉をつつみなさいませ」
「サライテ、宜しいではないですか。お父様なのです。使徒様にも、そう呼んでもらいましょう」
「お義父様、よろしくお願いします」
「使徒様は、宜しいのですか。カリナフの頃に、ナガールッツ子爵から、三行半を突きつけられた娘ですよ」
「存じております。聖女様は、私にとっても、大切な存在です。三行半を突きつけられたなども、行き違いの話ですし。後悔をするのは向こうです」
「お二人共、何をおっしゃっているのです。カリナフ様は、六歳で亡くなられております。悲しいことです。聖女様は、使徒様のお相手として、ご降臨されたのです。宜しいですね」
「そのとおりです。聖女様が、正しいのです」
お客様を迎える広い正面玄関で、漏れてはいけない事を話している。
甲冑やら絵画が、壁に並び。らせん階段が3階へと伸び、吹き抜けの天井には、天使が描かれている。
「ここに居られましたか、イーガージ様。これはこれは、使徒様に、聖女様。お懐かしゅうございます」
執事のヤヌッフが、奥の大きな扉を開けて現れた。
「使徒様からも、イーガージ様をお叱り下さい。備蓄の小麦を、配ると仰っているのです」
「駄目だ。今年は不作だから、民を鼓舞するためにも、小麦を配給しないとならぬ」
「普通なら、これも有りですが。いつ戦争が起こるかもしれないのに、備蓄を配るなど、言語道断です看過できません」
「このままでは、地元の百姓は問題無いが。移住してきた方々が、飢え死にしてしまう。ダガルプ教の信徒を助けるのも、ターランドの務めだ。なぜ分からぬ」
「田畑が足りないのです。開墾が間に合わないほどの人々が、クラージツ平野に集まっているのです。分かって下さい」
「イーガージ・ターランド伯爵。私に、小麦を貸して下さい。来年にはキッチリお返しします」
私は、横から話に参加差した。
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