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使徒様と呼ばれて、  作者: 愛加 あかり
14/30

『聖女の誉』

カリナフ嬢が、聖女への変貌を見せた。

聖女へなるには、ドアの側にいた、侍女を納得させないといけなかった。

侍女が、出した要求は…。





 私が、カリナフ嬢を心配して顔を覗き込むと。

 カリナフ嬢が、タイミング悪く起き上がった。


 『ゴン』


 「「痛ーい」」


 僅か40畳程のスペースに、二人の声が木霊した。

 サライテも、10脚しか無いテーブルセットの椅子を使い、何とか起き上がろうとしている。


 廊下にいた侍女は、カリナフ嬢の変化を見て、使徒様のように変化を見せたので、触れて良いのか戸惑っている。


 2人は、同時におデコを抑えて。顔を見合わせる。入れ替わってはいない。



 「カリナフ様は、お体に異変を感じませんか。頭が痛むでも、お腹が痛いでも。些細な事でも構いません。何かありませんか」


 私の心配した顔が、カリナフ嬢に伝わり。


 カリナフ嬢が、私に抱き付き。

 私は、咄嗟の事で、反応が出来なかった。


 「使徒様、怖かったです。恐ろし方です。私を、殺そうと、襲い掛かってきたのです」


 カリナフ嬢は、力強く私に抱きつき。涙まで流している。


 私は、カリナフ嬢の腕を振り解くでもなく。白銀と化した、髪の毛に触れて。頭を撫でている。


 「先ずは、落ち着かれて下さい。体調に、異変はございませんか。頭や、体、手足の先まで、痛みや痺れ等は、有りませんか」


 「カリナフ様なのですか。私が、意識を失っている間に、何が有ったのですか」


 物凄く、カリナフ嬢の身体の事を心配しているようだが。

 目尻が垂れ下がり、丸い眼鏡からはみ出している。


 『可愛い。可愛すぎる、姉妹のように愛でていたい』


 サライテの指が、無数に見える程のスピードで、動いている。


 「何を、言っているのですか。私は、名を捨てました。名など…」


 カリナフ嬢は、自分の異変に気付き始める。


 体の異常な程の白さ。使徒様に似た、白銀の髪だが、毛先に紫が残っている。


 そして、使徒様の頬に、自分の頬が当たっている。



 私は、母親以外の肌に触れた。温かなものに触れ、感動で涙を流している。


 図書館の文献に、『人に触れると、人が暴走する』と、書かれていたが。カリナフ嬢を、人の領域から逸脱させていまったのか。


 「使徒様。私の顔に、異変はございますか」


 カリナフ嬢は、頬から顔を離し。前髪を上げて、顔をまじまじと見せた。


 私は、異変を見つけようとしたが、時間を掛けてしまい。


 「使徒様、失礼ですよ。私の顔を、覚えてらっしゃらないのですか」


 いつものように、悪戯に私を虐める。


 私は、右手を頬に当てて。カリナフ嬢の温もりを、求めているような仕草をしていたようだ。


 カリナフ嬢は、恐る恐る左手を、私のおデコに当てた。

 暴走しないのを確認した後で。


 「コブに、なってしまいましたね」


 次に、私の頬の手に触れて。右手も、左の頬に添えた。


 そして、私のおデコに。優しくキスをした。


 「痛いの、痛いの、飛んで行け」


 4歳の子供扱いされた。


 唐突に、鼻血とヨダレを垂らしたサライテが。まだ、調べていない所を指摘した。


 カリナフ嬢のスカートの中だ。

 サライテの脳内は、ぶっ飛んだ思考が回っているようだ。



 「カリナフ様、股間に使徒様と同じ大きさの物が、生えたりしてませんか」


 私とカリナフ嬢は、座って広がっている。黄色いドレスのスカート部分を、見下ろした。


 カリナフ嬢は、両手の平を広げ。大きな筒を掴むように、スカートの上から股間の辺りを触った。


 少し開いた、両足の間に手を下ろすと、何がに触れたようで。一瞬で、手を上げるカリナフ嬢。


 私と目が合い。もう一度、両足の間に手を下ろすと、手が途中で止まり。スカートが沈まない。

 ぱっと見だが、かなり太いようだ。


 カリナフ嬢は、思い切って、スカートを巡ると。そこには。


 500mlサイズのペットボトルを、彷彿させる大きさの葡萄ジュースの瓶が、転がっていた。


 「「ふ〜」」


 ビックリした。心臓に悪すぎる。


 「複雑な気持ちです。無くて、ホッとしてますが。使徒様と同じに、なれなかったのが。少し残念な気持ちです」


 「私は、逆です。確証は、まだ、無いのですが。カリナフ様を、聖女様にしたのかも、知れません。罪の念を、感じております」


 「どういう事ですか。使徒様と共に、歩めるのですよね。触れる事が出来たのですよ、ダガルプ神殿から、追い出されたりしませんよね」


 「はい。ダガルプ神殿から、追い出される事は、無いと思いますが。逆に、外に出して貰えないと思います」


 私は、聖女の顔を見つめて。


 「私は、本の虫だから良いのですが。聖女様として、奥に籠もらないと、いけないのですよ。我慢できますか」


 「問題有りません、些細な事です。使徒様と、一緒にいられるのですよね。お風呂に入って、一緒に寝て、起きて。使徒様の身の回りの、お世話をさせて頂きます」



 「何事ですか。どうなさいましたか」


 グマーザラー14世を、先頭に、多くの司祭が、集まった。

 兵が、何処にもいない。


 「少々、お待ち下さい。聖女様、グマーザラー14世様が、お見えになりました」


 外で待機していた、侍女が、面会人が現れたことを告げた。


 聖女様は、瓶を持ち。立ち上がって、スカートの裾を叩いた。


 「はい。グマーザラー14世様の、見解を伺います。入ってもらいましょう」


 結果オーライだったが。怖い思いもしたのも事実で、ダガルプ神殿に、箝口令を出し。聖女の事も、秘密にして貰わないとならない。


 「グマーザラー14世様には、ダガルプ神殿の半分を、差し出してもらいます。特に、地下の聖水については、私と使徒様の湯浴みの場として、提供してもらいます。宜しいですか」


 「それは、構いませんが。事と成り行きを、お教え願えませんか。ビカーリア司祭が、倒れている件と、お嬢様のお体について。私も、その体を手にできるのかです」


 「それは無理です。聖女様のようなお体にする気は、毛頭有りませんので、お諦めて下さい。聖女様は、私の手違いで、こうなられたのです。増やすつもりは有りません」


 「そんな。お二人の邪魔はしませんから。せめて、お二人の世話をさせて下さい。こんな事で、聖女様と、離れるなど、納得が出来ません」


 「それも、問題ないと思う。聖女の立ち位置は、真ん中にある。人々に触れる事が出来。私に、触れることの出来る唯一無二の者…」


 「そんな。私のお着替えは、使徒様がしてくれないのですか。2人で、お洋服を着せたり。お着替えしたり、できないのですか」


 「聖女様は、お一人でお着替え出来ませんよね。私のお世話は、私がします。ですので、サライテさんが、聖女様の侍女として、お付き下さい」


 私は、ダマーザラー14世の方を向き。ビカーリア司祭の刑を執行した。


 「ビカーリア司祭には、クラージツ平原からの追放を命じます。宜しいですね」


 「それは、宜しいのですが。経緯の方を、お教え願えか。処罰を与えるにしても、こちらを精査しませんとなりませんので」


 「「「「「うん、うん」」」」」


 「動機は、分かりなねますが。サライテ様を、押し倒して。気絶させた後で、お姫様の下へ向かい。その後に、こちらも、押し倒した後に、ラム肉を与えて。お姫様は、昏睡状態になられました。その後は、使徒様が、姫様を聖女へと変えました」


 「肝心な所が抜けておる。使徒様は、何を成されたのか。どうして、聖女様になられたのか。お姫様以外も、聖女へなれるのか」

 

 「お答えできません。クラージツ平原からの追放は、死ぬしか御座いませんので。私は、まだ、死にたくも有りませんし。安全なダガルプ神殿の奥で、暮らしたいです」


 廊下で、一部始終を見ていた侍女は、サライテを見て。


 「私には、3人の兄と、6人の姉妹がいます。それぞれは、縁談も決まっているでしょう。貴族社会で、腹違いの兄妹もいますが。この戦争で、クラージツ平原に逃げてきた際は、助けてもらえますか」


 「名を教えて頂けるのなら、ターランド伯爵様に、掛け合おう。そなたの、願いはマルーリ様を通じて、叶うことだろう。だから、お姫様に、何が有ったのかだけ、私にだけ教えろ。他言してはならぬぞ」


 「有難うございます。皆様が、帰られた後で、お話いたします」


 「ですので。皆様は、ビカーリア司祭を捨てに行く作業を、進めて下さい。私も、其奴の被害者ですので。お忘れなく」


 ビカーリア司祭は、身ぐるみをすべて剥がされて。兵士3人に、追い込まれるように、砦へ向かわれた。


 サライテは、毒見役を勝って出て。あわよくば、聖女へのチャンスをうかがっている。


 そして、聖女様は、一冊の日記と出会った。


 それは、図書館の使徒様が、入らない貴族の棚に、保管されていて。


 分厚い表紙に、リボンで封がされていた。


 『聖女の誉』


 それは、過激な本だった。


 第37章


 使徒様は、ベッドの中で、甘く囁き。

 使徒様のご立派な矛で、私の身体を貫こうとしている。

 時に、激しく。前から後ろから、何度も、体を貫かれそうになりながらも。

 私は、耐えて。何度も昇天して、天国を見た。



 『使徒様は、何故、聖女を矛で刺すのか。何度も、死に戻りを経験するのか。聖女は、天国を見て、帰って来た後に。使徒様に、お告げを与えるのが、仕事なのかと』 


 一方の変態は、良からぬ方向が外れて、ショックを受けている。 

 だが、1本が、2本になる事は無く。

 聖女様には、付いていなかった。


 

読んでいただき、有難うございます。

高評価、星とブックマークを、宜しくお願いします。

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