神の加護を受けて、
エドガーは、自暴自棄の罪人から、死の引導を渡され。異世界転生を済ませた。
異世界では、アルビノの両性具有として、産み落とされた。
私の名は、エドガー。
神に仕える仕事をしている。
目が覚めて、祈りを捧げ。寝る前に感謝しながら、眠りについた。
貧しくも、多少の寄付と、恵みの食料を分けてもらい。糧を得ていた。
週に一度、近くの刑務所へと出向く。
迷える子羊を、導くのも私の役目だ。
説教をして、懺悔を聞く。
神の教えを説き、言葉を授ける。
いつもと変わらぬ日常が、突然変わった。
「お前に、何が分かる。神が許したのなら、俺は自由になった筈だ。俺をここから出せ」
自暴自棄の犯罪者が、私を押し倒して。馬乗りになった。
そして、罪人は狂気し、私の聖書を振り上げて、顔面めがけて振り下ろされた。
「俺は悪くない。あの女が悪い。俺は無実だ」
罪人は、自分を正当化するように、言葉を並べて。罪を重ねた。
「俺が。お前に。解いて。やる。この世に。神は。存在しない。解ったか。返事は。この野郎…」
私は、分厚い聖書と、冷たいコンクリートの床に、何度も叩きつけられて亡くなった。
職員が、止める頃には、顔は陥没していた。
力は抜け、心臓も止まり。血液が気道を防ぎ、現場で、頭部から大量の出血で、死亡確認された。
幸いな事に、私には妻子も居らず。女も知らない。引き取る両親に、残す金もない。
教会が、全てを受け取った。
申し訳なく思いながら。神のお告げを聞いた。
『神の加護を与える。布教させよ』
私は、過去の記憶を持ったまま転生した。
H.R.ギーガーは、産道を抜けた記憶を持っていたらしい。
今、私は、その体験をしている。
『オギャー。オギャー。オギャー』
意識はあるが、言葉を封印されている。
最初に驚いたのは、私を取り上げた産婆だ。
「何、この子。何なの」
肌が、異常に白く。髪も色素が無く、白髪より、銀髪に近い。
アルビノは、稀にある現象だが。
両性具有でも有った。
「アニマ、天使が生まれた」
産婆の頭を過ったものは、ダガルプ教の神殿の壁画だ。
数年前に訪れた事のある、真っ白な神殿の礼拝堂に描かれた壁画。
大きな胸とペニスを持ち。ダガルプ教のシンボルとして、ネックレスにもなっている。
私は、産湯に浸かった後。
母のアニマに抱かれながら、母乳で胃を満たし、ゲップを吐いた。
母は、私を優しく受け入れ。
父親は、私を疑った。
父親も、母も褐色の肌をしている。
いや、このガグリップ王国では、褐色の肌が普通で、真っ白な肌は、珍しかった。
本当に、壁画の世界だけだった。
産婆は、僕を母に預けた後。日も昇らぬうちに、教会へ出向き、神父を起こした。
「大変だよ。起きてくれ。アニマが、ダガルプ教の天使を産み落とした。早く子供を見ておくれよ」
産婆は、教会の裏の戸を叩き。眠る神父を起こした。
「何事だよ。ゴブリンでも出たのかい」
『人さらいのゴブリン』童話だ。
「何、呑気な事を言っいるんだい。私は、徹夜でアニマの出産を手伝っていたのに。それよりも、早く来てくれよ。この村に天使が産み落とされたんだよ」
産婆は、ダガルプ教の神父を連れて、ザガルの家に向かった。
アニマは、私を抱きしめたが。
ザガルは、私を抱き締めようとはしなかった。初めての子供なのに、冷たくされた。
薄っすらと、日が辺りを照らし始め、産婆が消えて、私も疲れて眠った頃に。
産婆が、神父を連れて戻ってきた。
静かになった家のリビングで、ゆっくり休めると思っていたのに。
うるさく、戸を叩く神父が現れ。
「うるせぇ。やっと静かになったんだ、バカ野郎」
ザガル以外は、喜ばしい事だと思っていた。
「天使が生まれたって、本当かいザガル」
ザガルは、挨拶もせずに、リビングからキッチンへ逃げた。
「こっちだよ、神父さん」
産婆が、寝室に案内した。
「神父様、私たちの子は。この子は、どうなるのですか」
取り合えず、子供を見せてもらえますか。
私は、眠りを妨げられて、怒りのままに泣いた。
顔を赤くして、声を張り。興奮して、ベニスを膨らませて。放尿した。
『自然現象だ。許して欲しい』
「間違いありますまい。天使様、使徒様、御使様、いずれの名になりましょう。名付けを、してはなりませぬ。いずれ、本人が名乗るはずです」
神父は、私の聖水をくらいながら、まじめに語っていた。
「急がねばなりませぬ、ダガルプ神殿へ手紙を書かねば」
神父は、私をアニマに戻して、寝室を出ようとしたが。一度振り返り。
「使徒様を、他人に触れさせてはなりませぬ。良いですか、汚れや、欲に触れさせてはいけません。お願いしますね」
神父は、それだけを言い残し、教会へと戻った。
ボロボロの教会で、なるべく上等な羊皮紙を使い。ダガルプ神殿への手紙を書いた。
『この度、ナベービックの集落に、使徒様がご降臨なされました。
肌は白く、髪は銀色に輝き。大きな一物を持っており、両性具有です。
ナベービックの神父 タルーザ』
神父は、街中を練り歩き、銀貨を求めた。
手紙を、商人に渡すためだ。
ヘソクリを出したも、銀貨14枚にしかならない。
神父は、集落中を練り歩き、銀貨を52枚集めた。
これは、神父の人望によるものだ。
神父は、手紙と銀貨を手にして、馬を借りた。
手紙を出しに、隣の村まで行かねば、ならなかった。
逸る気持ちを抑え、途中で馬を休ませながら。
半日かけて、隣町に到着した。
神父は、幸運に恵まれていた。
馴染みの商人を見つける事が出来て、荷物が空だと言う。
「スマン。この手紙を、ダガルプ神殿まで頼む。多くは語れないが、大事な密書じゃ。これは、駄賃だが、銀貨52枚が入っておる。足りなければ、ダガルプ神殿の司祭に求めよ、頼んだぞ」
神父は、有り金を全部使い。野宿した。
私は、暗い部屋で殆どの時間を過ごした。
母アニマは、神父の言いつけを守り、私を寝室から出さずに、人の目を避けた。
父親のザガルも、好都合だった。
私の存在を、消して欲しかったのだろう。
ナベービックの人々には、死産と報告したかったのだ。
だが、産婆と神父は、金を失ったが。大喜びで、言いふらして回った。
「私が、使徒様を取り上げて、産湯に浸けたの」
「この集落から、使徒様が誕生した。喜ばし事だ。ダガルプ教の司祭様が来られるぞ」
一方、ダガルプ神殿では。
「ナベービックの神父からの手紙です。何方か目を通して下さいませんか。お願いします」
司祭、助祭、僧までも、手紙の受け取りを拒否していた。
『教会を、修復してください』
『援助を、村が悲鳴を上げています』
『孤児の子が、増えて大変です』
手紙とは、助けを求める物が多く。受け取った者の責任でも有った。
読んでいただき、有難うございます。
慣れない、恋愛物を描こうと思います。
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