後編
彩夏が旅立った後、彩と凛は彼女の教えを胸に刻み、陸上競技に励んでいた。
母の存在が彼女たちの心の支えであり、競技に対する情熱を燃やす源でもあった。
彼女たちは、母の夢を叶えるため、日々努力を重ねていた。
ある日、彩と凛は大学の陸上部の練習中に、母がかつて参加した大会の映像を見つけた。映像の中の彩夏は、若々しく、力強い走りを見せていた。
彼女の笑顔は、まるで今でも彼女たちを見守っているかのようだった。二人は涙を流しながら、その映像を何度も見返した。
「私たち、絶対にお母さんのようになってみせる!」彩が力強く宣言した。
凛も頷き、二人は互いに励まし合いながら、練習に打ち込んだ。
彼女たちの心には、美咲の教えがしっかりと根付いていた。「夢を追い続けることの大切さ」を。
時が経つにつれ、彩と凛はそれぞれの才能を開花させ、全国大会や国際大会での活躍を果たすようになった。
彼女たちの走りは、母の姿を彷彿とさせるものであり、観客たちの心を掴んで離さなかった。特に、母の命日には、彼女たちは必ず特別なレースを行い、母への感謝の気持ちを込めて走った。
ある年のオリンピック、彩と凛はついに夢の舞台に立つことができた。開会式の日、彼女たちは母の思い出の品である小さなペンダントを身に着けていた。
それは、彩夏が彼女たちに贈ったもので、いつも彼女たちのそばにいるという証だった。
レースが始まると、二人は全力で走り出した。観客の声援が響き渡る中、彼女たちは母の教えを思い出し、力を振り絞った。
ゴールが近づくにつれ、彩と凛はお互いを見つめ合い、心の中で「お母さん、見ていてね」と叫んだ。
そして、二人は見事にゴールラインを越えた。
結果は、2人揃って金メダル。
歓喜の瞬間、彼女たちは涙を流しながら、母の存在を感じていた。
彩夏が彼女たちを見守っていると信じていたからだ。
表彰台に立った時、彩と凛は母の名前を叫び、彼女に感謝の気持ちを伝えた。「お母さん、私たち、やったよ!」その瞬間、彼女たちは母の愛が自分たちを支えていたことを実感した。
彩夏の物語は、彼女の死後も続いていた。
彩と凛は、母の意志を引き継ぎ、陸上競技を通じて多くの人々に希望を与え続けた。
彼女たちの活躍は、母の闘いの証であり、愛の力を示すものであった。
彩夏の存在は、彼女たちの心の中で生き続け、未来へとつながっていく。
彼女の物語は、決して終わることなく、愛と希望の象徴として、これからも語り継がれていくのだろう。