濃淡
指先で崩れ落ちる
言葉の残骸を握り込んで
何ごともないように笑うことに慣れる
大人になることは
涙も痛みも
等しく覆い隠すこと
気付いたらひとりで立っていた
真っ黒な海辺
この世界はいつだって墨の濃淡みたいで
私にはもう
空の青も海の青も分からない
指先で崩れ落ちる
思いの残骸を握り込んで
何ごともないように笑うことに慣れる
生きていくことは
喜びも苦しみも
区別なく捨てること
誰かに丸めて捨てられた
紙屑を踏みしめて歩く
誰かの痛みなんて知らないと
自分の痛みさえ無視して
世界を塗りつぶす
失くしていくことを
惜しむ気持ちさえ忘れたふりで
気付いたら真っ黒な海辺
ぼんやりと座ってた
頬を伝う涙の温度さえ
今はもう分からない
指先で崩れ落ちる
言葉の残骸を握り込んで
何ごともないように笑うことに慣れる
この世界はいつだって墨の濃淡みたいで
私にはもう
空の青も海の青も分からない
気付いたらひとりで立っていた
真っ黒な海辺
ただ風の音だけが聞こえる