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極氷姫の猟犬  作者: 骸崎 ミウ
第7章
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東支部〜1

東支部の周辺は北方支部とは打って変わって、灼熱の砂の海である。



見渡す限りの砂の海は四方から絶えず吹き込む風により姿形を変え、定期的に巨大な砂嵐を発生させる。



1年を通して気温が高く、昼は平均60℃と夜には最大でマイナス40℃と寒暖差が非常に激しい。年に一度か数年に一度のペースで起こる雨季ではまるでバケツの水をそのままひっくり返した様な豪雨が発生して、砂漠は辺り一面海の様に姿を変えてしまう。



しかも、砂漠を構築している砂も通常のものではなく、ナノサイズの極小の毬栗状の粒で一息吸い込めば呼吸器官に深刻なダメージを与えるものであったり、太陽からの熱を100パーセント吸収し中で増幅させながら蓄え続け最終的にガラス化して溶けたガラスの海に変える事もある。



そんな北方支部とほぼ真逆な気候の東支部の主な収入源は地下に眠る鉱石類である。



『天災』以降の世界の変化は気候に限らず、あらゆる面に置いても変化しており、地下資源も例外ではなかった。



地下資源の多くは何故か現在の東支部がある砂漠地帯に密集しており、地下を掘ると鉄やマンガンをはじめとする金属や銀や金などの貴金属、ダイヤやサファイアといった宝石類に石油といった液体系、果てには魔術で扱う魔石やオリハルコンなどの特殊鉱石も採掘されている。



しかも、地脈と龍脈の影響で一度採掘をしてしばらく放置すると自然の摂理を無視した速度で鉱石類が再生成されるのである。具体的に言うと本来年に数ミリしか伸びない鍾乳石が筍みたいな速度で生成される。



地下資源が豊富ではあるがその一方で、地下の構造は天然の迷宮でアリの巣の様に入り組んでおり、過酷な気候の地表を避けて地下に生息しているサンドワームなどの魔獣も存在している。そして当然ながら有毒なガスなども発生する。



鉱石を掘っていたらサンドワームの口と真正面からご対面したりガス溜まりに当たって爆発騒ぎなどしょっちゅうである。




***




「東支部へようこそ〜♪砂と石ころしかないけど楽しんで行ってね〜♪」



線路と列車の修復が完了し、ようやく東支部のターミナル駅に到着した一行を1人の女性がそう言って出迎えた。



滑らかでボリュームのある黒髪を膝下まで伸ばしており、何処となく狐を思わせる容姿に嵌め込まれたスカイブルーの瞳は日焼けではない褐色の肌でより輝いて見えた。



そして背は愛莉珠よりも頭1個分高く、男の本能に刺さる様な超グラマラスな体型であり、服装は布地が多めのアラビアンな踊り子の様なものでよく似合っていた。



彼女は東支部砂中特殊部隊隊長のアーミラ・サルテミアである。ちなみに踊り子の様な服装は彼女の専用装備である。




「……アーミラ。とりあえず宿に行かせて。森はもうウンザリだからさ」




キラキラとした笑顔のアーミラとは対照的に愛莉珠はゲンナリとした表情を浮かべてそう言った。




「あぁ〜……、確かにあれは災難だったよね」



「土産は密林の果物。保存魔法かけて列車に積んで──」



「マジで?!ヨッシャご馳走だぁ!!」




愛莉珠の報告にアーミラはスカイブルーの瞳を輝かせて後方に繋がれている貨物車両の方へと走って行った。




「……………宿に着いたら各自割り振られた部屋に荷物置いて翌朝の6時まで自由行動。はい解散」




愛莉珠は気怠そうにそう言い、今し方起きた理玖を連れて宿へと向かった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 大森林のモリモリした土地から一転(ʘᗩʘ’) 随分とカラカラした砂漠に来たもんだな(٥↼_↼) 愛莉珠の奴もお疲れのようだし(↼_↼) 宿に行ってもニャンニャン・ワンワンもないなコリャ(…
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