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極氷姫の猟犬  作者: 骸崎 ミウ
第6章
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幕間〜鏡猫の療養記録2

重たいニーナを背負って下の階にあるリビングに降りるとマーシーさんが朝食の準備をしていた。




「あら、おはようテリア。今日もニーナが懐いてるねぇ」



「おはようございますマーシーさん。………多分これ懐いてるんじゃなくて、舐め切ってますよこれ」



「ナ〝ァァァ〜」



「まぁまぁ、ニーナがそうやってべったりしてくるのはほんと珍しいからね。あ、そうそう、レイが今卵を取って来てるから朝食は少し待っててね」



「わかりました」




マーシーさんは朗らかな笑顔で朝の挨拶をして私もそれに返す。それからたわいも無い会話を始める。



外の……多分鶏小屋からは炸裂音と打撃音、けたたましい鶏の鳴き声と『タマァ寄越せェッ!!』とドスの効いた雄叫びが聞こえてくる。



………………絶対に鶏小屋で出ない音が聞こえるは何故?




「と、取って来たよママ……今日も奴らがうるs『ケェェェェ!!』─グギャアーー?!」




しばらくして随分ボロボロになって玄関からやってきたジャージ姿のレイチェルが脱走して来た嘴から火を吹く鶏の飛び蹴りを受けて吹っ飛んだ。




「あれま!また脱走しちゃったんかい!?ちょっとみんな!火食い鶏を捕まえるの手伝って!」




そうして脱走した鶏を捕まえるべく、ちょっとした乱闘騒ぎになった。私も背中でナァナァ鳴いているニーナを降ろして捕獲に乗り出した。



フローレンス家は朝から賑やかである。



ちなみに鶏は家の中を縦横無尽に駆け巡った後、デブ猫ニーナのはたき落としで捕まった。




***




捕獲作戦の後、朝食を食べて私はジェイコブさんの仕事の手伝いに向かった。



療養の身ではあるが特に身体的なアレでは無いし、身体を動かすのもリフレッシュにはいいと聞いている。



…………あと、何もしないでいるのはなんか気が引けるから。




「それじゃあ、テリアちゃん。今日もよろしくね。ちゃんと防電服を着るんだよ」



「はい。わかりました」




今日は雷毛羊の毛刈りをする様だった。



雷毛羊は見た目は少し小さめの羊なのだが、体内に発電器官を有する魔獣であり、余分に発電した電気を体毛に溜め込む習性を持っている。



群れで行動する為、野生だと密集しているところに雷が引き寄せられて落ちて、山火事の原因になったりする。テルゼウスにいた頃、まだ当時バディ契約をしていなかった私もよくその後始末に駆り出されていた。



飼育している個体は定期的に毛刈りをしているから、そこまで行くのは滅多にない。



ただ、雷毛羊の毛を素手で触ることは発電機に手を突っ込む事と同等だから防電服が必要不可欠だ。



…………現に雷毛羊の上で一休みしようとしたカラスが乗った瞬間バチィッ!!と音と共に眩い閃光を放ち、ローストチキンになってるのを見たことあったから。



そうして伸びた毛をハサミでチョキチョキとやっていると他の雷毛羊達がメェメェ鳴きながらやって来て、毛刈りをしている私の周りに集まりだした。



そして、ニーナと同じ様に何故か私の背中にもたれかかってきた。




「相変わらず好かれてるなぁ。やっぱりビーストってのが関係あるのかな?」



「いや、わかりませんけど…………そ、それより、た、助けてください。なんか身体とか尻尾とかビリビリしてきて」




そうこうしている内になんかパチパチ音が鳴っている気がしてきた。




「え?あ、電気が溜まってる子だったのか。ごめんごめん、大丈夫かい?」



「は、はい。なんとか……」




ジェイコブさんが雷毛羊を離してくれたおかげで痺れがなくなった。




その日の午前中はずっと毛刈りをしていた。


予定が詰まっていて書く時間が無さそうなので来週は投稿をお休みします

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― 新着の感想 ―
[一言] 思ってたより平和に暮らしてるだな(ʘᗩʘ’) しかし「タマァー寄越せー」じゃなくてタマゴを寄越せーだよな?(٥↼_↼) 一瞬、何の物体が疑ったぞ(─.─||)
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