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極氷姫の猟犬  作者: 骸崎 ミウ
第6章
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北方支部へ〜歓迎3

質より数の暴力な飢えた狼とフィジカルバーサーカーな殺戮☆兎の雪玉戦争の最中、先の雪玉に沈んだ特戦隊の面々は治療の為に北方支部の拠点まで運ばれていた。



そもそも、ただでさえレンガをも砕く勢いと強度のある雪玉を弱体化を受けた状態で被弾しているのだから無事では済まない。



運ばれて来た面々の殆どが脳天が赤く腫れていて、大体そこを狙われた事がよくわかる。





「…………ねぇ、ロザリア」



「なんですか?」



「なんで僕だけフルボッコにされたの?」




そして、特戦隊の中でも先程ロザリアにそう質問した愛莉珠が1番怪我をしていた。ほぼ全員に共通している脳天から腕や足、果てには背中まで赤くなっていた。




「さぁ?なんででしょうか」




そんな愛莉珠にロザリアはいい笑顔で返した。




「いや絶対理由わかってるでしょ。脳筋ゴリラの癖にスポーツマンシップバリバリあるのにアイツら僕が雪玉当たったのに全力投球して来たんだよ?」



「雪玉が当たったところが見えなかったのでしょう」



「いや、バッチリ見えてたよね。アンタがバズーカやって当たった後に『死ねぇ!』ってイイズナの子が叫びながら投げて来たし」



「きっと錯乱してたのでしょう」



「そうだね。というかあの場にいた奴らみんなしてやっていたから、さっさと精神科受療させてきなよ全員」



「問題ありませんよ」




淡々といい笑顔で返していくロザリアに愛莉珠の額に青筋が浮かび上がってきたそんな時だった。




「ロザリア。あまり煽るな。ここでキレられて暴れられたら壁に穴が空くだろ」




いい笑顔のロザリアを諌める人物がやってきた。



あまり手入れされていない鈍色の髪を膝丈まで伸ばしており、伸びた前髪から覗く顔は血色が悪いが整っており、ネイビーブルーの瞳は垂れ気味の三白眼をしていた。体型は全体的に細く背が高い為、一見するとヒョロ長く見えるがよく見ると意外とがっしりとしている。



服装はアイヌ風の紋様が入ったコートを羽織って、その下に魔獣の毛皮をそのまま使って作ったであろう分厚いズボンとシャツを着ていた。




「あ、林杏(リンシン)。今頃起きたんですか?雪合戦楽しかったのに」



「私はそういう疲れるのには参加したくないんだよ」



「それ北方のゴリラ軍団率いてる隊長が言っていい事?」




やって来た彼女は北方支部雪中部隊隊長の(ヨウ) 林杏(リンシン)でロザリアのバディである。




「雪合戦なんてここじゃいつでもやれる。………それよりロザリア。あと何人生き残ってる?」



「確かあと7人ですね。6人は養成学校でも最優秀の隊員であと1人は理玖くんですね。今はクリスティーヌが相手している筈です。ほら、時々地響きが聞こえるでしょ?」



「確かにな。アリスが鍛えたのか?」



「鍛えたと言えば鍛えたけど、既に下地が出来てたよ。あれは血筋の才能か無自覚の英才教育の賜物だね」



「………まぁ、可愛がるついでにこれから困らない様にしていたみたいだったからな。あの2人は」



「可愛がるといえば林杏はよく食べ物で理玖くんを釣ろうとしてましたね。ビーフジャーキーとか」



「それが無くても来てくれたがな。………というかなんでか知らんがクリスティーヌによく懐いていた」



「そんなチビからリクはマッチョに憧れていたのか………」




そんなことを3人で会話していると今日1番の轟音が支部に響き渡った。それと同時に雪合戦では決して聞こえない筈の大型魔獣の咆哮が複数響き渡った。




「……………あのさぁ。僕の聞き間違いじゃなければなんか来てるよね?」



「………見に行きましょうか」



「そうだな……」




そうして3人が外の様子を見に行くとそこには都市部の外壁を越えようとしている大型の魔獣数体とその魔獣達に支部から見て米粒にしか見えない2人の影が飛びかかっている様子だった。



ちなみに魔獣の姿はティーレックスと山羊を合体させたキメラを体高20メートルくらいまで巨大化させた様な見た目であった。




「カプラサウルスか。まだ繁殖時期じゃない筈だが………」



「群れから追い出された若い個体群じゃない?角とか見た感じ若そうだし」



「確かにそう見えますが……でも一体だけ歴戦の猛者感を放っているのがいますよ。きっと新たな群れを作ってはしゃいじゃっているやつですよ。あ、バトルが始まりましたよ」




そうしているうちにおそらく理玖とクリスティーヌであろう米粒サイズの2人の影が外壁の外へと飛び降りた。



しばらくすると、まず数体の小さい個体が苦しみ出し腹部が膨張していった。そして、ほぼ同時に破裂して中から大量の魔狼が出てきて蟻が大きな昆虫に群がる様にして貪り始めた。



一方で一際体格がよく古傷を負っている個体には体格そのままで某配管工がビックになれるキノコを食べたが如く巨大化して、カプラサウルスの顎下をアッパーカットした。



そしてアッパーカットをくらってふらついているバロムサウルスの下に潜り込む様にタックルをかまして外壁より遠ざけた後に後ろに回り込むとそのままバックドロップを繰り出してカプラサウルスの顔面を永久凍土に突き刺した。



突き刺さったカプラサウルスはしばらく硬直した後、ゆっくりと横に崩れて轟音を立てて倒れた。



カーーンッカーーンッカーーーーンッ!!!



どこからとも無くリングゴングの音が鳴り響き、クリスティーヌの野太い雄叫びと狼の遠吠えが極寒の地に響き渡った。



吹雪のせいで視界が悪く、巨大化したクリスティーヌは影しか見えないが何故か目の部分が赤く光っており、一昔前の怪獣映画さながらの迫力である。



………………シルエットが筋骨隆々のバニーガールなのはさておき。




「あのさぁ………ここはいつからバニーコスのプロレス団体になったの?」



「プロレスをやっているは彼女だけだ」



「あはははは………」




その光景を見ていた3人はなんとも言えない表情になってしまった。



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― 新着の感想 ―
[一言] 随分と派手な雪合戦になったな(ʘᗩʘ’) この後は全員揃って鍋でも突付くんだろ(?・・)
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