匂い
今回は諸事情で投稿が遅れました。
夜1時に投稿しようとしたら丁度メンテ………
愛莉珠からのお仕置きのダメージ (意味深)から復活した理玖は数日後に行われる予定の講演会の会場の準備をしていた。
もっとも、準備といっても大まかな会場作りは学校職員やユグドラシルから派遣された事務員らが中心に行なっており、理玖がする事といえば当日の警備の動きの確認と打ち合わせや学園内の掲示板に貼り紙を貼るといったちょっとした手伝いの様なものである。
そのため、基本それ以外はいつも通りの学校生活をしている。その日もいつもの様に手伝いをして、帰る準備をする為に教室へ戻っていた。
理玖はユグドラシルを往復する関係で現在も帰宅部である。そもそも部活動なんかをやっていたら帰るのが遅くなり、愛莉珠が不機嫌になって次の日の事なんざ知らねぇと言わんばかりにその日の夜に理玖がメインディッシュになってしまう。
いくら体力がある若者でも平日の夜にヤるのは仕事や学校やらがある次の日が辛くなるだけなのだ。しかも理玖は未だに愛莉珠の攻めに生まれたての子鹿になってしまい動けなくなる。
ちなみに理玖もビーストになってから能力の特性でかなりの大食いになっており、休みの日のお昼にはどこかの飲食店に突撃して大食いチャレンジメニューを完食しては食べ過ぎて出禁になったりしている。
そうして教室に戻ってくると放課後であってもちらほらとクラスメイトがまだいた。
理玖は特に話しかける事もなく、自分の席から荷物を取りに行くとその残っているクラスメイトのなかで部活動が休みだった詩織と美桜がやってきた。
「理玖くん、今日も準備していたの?」
「まぁな。機材の搬入やら警備のルートの確認とかあるし」
「ふーん………それだけ準備してるってことはそんなに凄い人が来るのかな?」
「それはまぁ………当日のお楽しみという事で」
そんなことを理玖と詩織は話していた。
尚、講演会の講師は要らぬ混乱を招かぬ様に当日まで生徒には通達されていない事になっている。特にガチファンの美桜に伝わった際には暴走する可能性があるからだ。
「ね、ねぇ、理玖君。あんた…その………いったい何やったらそんな匂い着くの?」
すると、先程まで黙っていた美桜が躊躇いがちにそう聞いてきた。聞かれた理玖は何のことだか分からず首を傾げた。
「美桜ちゃんどうしたの?確かに理玖くんから定期的に変な匂いするけど」
「いや待った。何の匂いだ。俺、そんな臭ってるのか?」
「いやそんなキツいのじゃなくて、なんというか甘酸っぱいとかそんな匂い。多分、嗅覚が鋭いビーストじゃないと分からないレベルのだよ。何か香水でも使ってるの?」
「いや俺もお嬢も使ってない。そもそもビーストが多いユグドラシルで香水付けてる人とかほぼいないぞ」
理玖はそう言いながら自分の匂いを嗅いで確かめた。しかし、自分から出ている匂いというのは案外わからないものである。
「理玖君はともかく詩織も知らないって………まぁ、純粋だからね2人とも」
「純粋か?…………ていうか匂いって何なんだよ」
「…………ビーストの奥さんいる旦那が浮気して色々隠蔽しても即バレる理由知ってる?」
「確かそれってヤった後特有の何かが出てるからって母さんが言って…………………………なるほどそういう事か」
「そういう事。ちなみにどれだけ激しかったによって匂いが強くなる」
美桜の仏頂面での説明に理玖はなんとも言えない気持ちになり、思わず視線を逸らした。その2人の会話に流石の詩織もわかった様で少し顔を赤らめた。
「というか本当に今日というかここ数日凄いよ?一体全体何をしたらそうなるのやら」
「丸一日監禁からのひたすら快楽漬けSM」
「「…………………」」
美桜のぼやきに理玖がサラッと答えると2人はボンッと音が鳴るかと思える様な真っ赤な顔になった。
「ちょッ、ちょっとちょっとちょっとお?!何そんなアブノーマルな事学校で言ってるのよ!!というかそれ本当!?」
「本当だ。ポカやらかしたお仕置きとかなんとか云々じゃなくてお嬢自身がやりたいからと強制的に」
「理玖くんそれってネコだった?タチだった?」
「俺がネコ。というかやる時9割俺がネコだな」
「詩織何聞いてるのよ!理玖君も真面目に答えない!」
意外とウブだった美桜は食い気味に質問する詩織と真面目に答える理玖にツッコミを入れた。
***
「─────てな事が今日あった」
その日の夜、夕食を食べ終えた理玖と愛莉珠は一緒に風呂に入っていた。そして理玖は今日の放課後にあった出来事を愛莉珠に話していた。
「ふーん。やっぱりビーストは鼻がいい子が多いから匂いでわかっちゃうもんなんだね」
愛莉珠は抱きかかえている理玖を再度抱え直してそう言った。理玖の背中には非常に柔らかく瑞々しい双丘がダイレクトに押し当てられたが既に慣れた。そもそも一線を超えている為今更である。
「やっぱりそういうの分からなくする香水とかつけた方がいいかな?」
理玖は愛莉珠にそう聞いてみた。あのあと理玖は美桜にそういう匂いを薄く香水やら薬やらが売っている事を教えられていたのだ。
「どうしたのさ急に。もしかして恥ずかしくなったとか?」
「別にそんなんじゃない」
「ならつけなくていいよそんなの。だって、その匂いがしていればリクは僕のものだって他の人に知らせる事が出来るしね」
「そんなのビースト限定じゃんか」
「それでもいいんだよ。────── 」
「…………?何か言ったか?」
「いや何も」
愛莉珠はそういうと湯船にぷかぷか浮かんでいる理玖のマシュマロメロンを揉もうとして彼女に止められ、代わりに理玖の耳を弄り出した。
理玖はそっちならいいかとそのまま放置する事にした。




